三品先生の、センサーネット構想2016年12月10日

 このごろ刊行ペースが上がってるのかな。

 本屋さんに行くと、三品先生の新しい本がいつもある気がするのだけれども。

 

 その中から、面白そうな本、読んでみました。

 

 モノ造りでもインターネットでも勝てない日本が、再び世界を驚かせる方法 センサーネット構想

 三品和広 センサー研究会  東洋経済新報社 (2016/2/26)

 


 三品先生の本は、バリバリの学術書・指南書と、軽く読める読み物系に大別されるのだけれども。これは読み物系。

 

 製造業、という産業を軸にして。

 産業革命で世界を制覇したイギリスを、なぜアメリカは逆転しそのまま引き離したのか。

 そのアメリカを逆転した(ように見えた)日本は、なぜ再逆転を許してそのまま鳴かず飛ばずなのか。

 その間に、製造業のボトルネックは、どう推移していて、各プレイヤーはどのような対応を取って(あるいは取らずに)いるのか。

 

 そういう、産業の歴史の推移が、わかりやすく説得力を持って、何より面白く読めるようにまとめられていて。

 遅読の僕には珍しく、数日で読み通したよ。

 

 その歴史の上に来るのがセンサーネット構想、というほどセンサーネット構想自体にピンとは来なかったけれど。

 でも、個人情報を気にする必要のない、センサーの情報によるビッグデータの生成。というのはよく分かるなあ。

 

 久しぶりに神戸大、遊びに行こうかな。

 

 ただ、それだけのはなし。 

あの日。 前編 〜まだ読んでいないけど〜2016年01月28日

 僕はね、あの事件を。


 研究のお作法を知らない未熟な女の子が、手元にある写真やデータのあれやこれやで、頭にあるストーリーを紙芝居風に組み立てて。

 それを、そんなにお作法を知らない研究者がいるなんて見たことも聞いたこともない純粋な研究者のおっさんたちが、妄想の紙芝居を実験に裏打ちされたデータだと信じて。

 そして、

 論文にしてしまった。

 妄想のなせる業だとは夢にも思わずに。

 

 そういう、不幸な事件だと、思っていてね。

 

 不幸な事件って言うのは。

 題材がブームに乗った再生医療につながるモノであったことや。

 張本人の容姿であったり、とってつけた小細工としての割烹着やなんやが、狙いとはずいぶんずれたけれどものすごく効果的に、世の劣情に満ちた妄想を刺激してしまったことや。

 

 そして、一番不幸なことは。

 そうして、事件がワイドショー的フォトジェニックであればあるほど。

 

 受け手のリテラシーが、絶望的に低かったんだよね。

 それは、絶対的な罪悪、といえるほどに、ね。

 

 受け手、っていうのは。

 ネットにあふれる、玉石混淆、どころか石くずばっかりの情報を、全く吟味することも無く、ほとんど読むこともなく、感覚的に「徹底的に叩いていい」人間を選び出してえげつなく叩く、まあおなじみのノイジーマイノリティ。だけではなくてね。

 まあ、レベルはあんまり変わらないのだけれど。

 ワイドショーから、報道ステーションのような情報バラエティから、報道番組と言われるニュース番組を含めても。

 STAP細胞はあるのかないのか、あの論文はねつ造だったのかそうでないのか。

 そこにばっかり目が行ってね。

 というか、そういう切り口でしか、受け手も送り手も、理解できなかったのだと思うのだけれど。

 そもそも象牙の塔たる研究者、再生医療村にとって、この論文が、この出来事が、どういう意味を持つのか。どのように起こりうるのか。

 それを、(受け手にスキルがあれば)一番的確に伝わるはずの、研究者の言葉で伝えようとしたS先生の言葉を全く理解するリテラシーがない大衆と、そのリテラシーの無さに甘えて、自分たちがわかりやすくかみ砕かなければいけないんだ、という報道者としての矜恃を喪った送り手が、下世話なワイドショーに落とし込めて叩き続け。

 そして、この出来事が不幸な事件になった。

 

 昔、研究者の端くれだったことがある人間としてはね。

 効果的に物事を伝える研究者の言葉を使った、なるべくヒトの手を伝わっていない元ネタに近いソースの情報で、この事件を説明してもらいたかったんだよね。

 それが、妄想に満ちた物であっても、そこを自分で判断できるような。

 

 「細胞塊の大きさがESとは違っていたので、STAP現象として説明するのが適切だと判断した」

 という感じで、当事者側から説明してくれる事を期待して。

 

 普段この手の本は絶対に買わないのだけれど。Kindle版をポチ、っとしてしまったよ。

 

 あの日。小保方晴子。

 

 まだ、少ししか読んでいないのだけれども、ね。


 ただ、それだけのはなし。

北方謙三、大水滸伝、完結!!! 〜岳飛伝、最終回〜2016年01月20日

 ついに。

 この日が、来たね。

 

 北方謙三の大水滸伝。最後を飾る、岳飛伝。完結。

 あ、小説すばるの、雑誌の連載の方ね。単行本は、もう少し後。

 


 僕は、この岳飛伝、小説すばるを年間購読して、毎月楽しみにしていたんだよ。

 もちろん、北方謙三の○○伝っていう物語の、終わり方はひとつしかないのだけれど。そして、その終わりが近づいているのは、それはもう、ひしひしと、ひしひしと感じていたのだけれど。

 

 でも、先月。

 来月最終回、っていう予告を見て。

 やっぱり、淋しかったんだよね。今月号が届くまでの一月。

 雑誌が届いたら、すぐ読むのかな、それとも、しばらくは飾っておくのかな、って。いろいろ考えてもみたのだけれど。

 結局は、届いた次の日の、東京出張の新幹線の中で読んでしまったんだよね。

 

 岳飛伝。

 水滸伝、楊令伝と続いてきた、北方謙三の大水滸伝の完結編。

 水滸伝は、もちろん有名な中国の物語なのだけれど。

 キャラクターとそれにまつわるエピソードだけが重要で、まとまったひとつのお話、という訳では無かったこの物語を、血湧き肉躍る革命の物語として我田引水した「水滸伝」。

 完全にオリジナルの物語として、祭りの後始末と、破壊の跡の構築の孤独を描いた「楊令伝」。

 実在の人物岳飛を使って、虚構と史実の狭間に、伝説から歴史へと移り変わる人たちの人生の決着をつけ続けた、「岳飛伝」。

 

 すごい、力業を、成し遂げてくれたよね。

 

 水滸伝を貫いた、宋江が作った替天行道の旗と志。

 楊令が背負わされた、その旗と志は、血が騒いで参加した単純で若い革命戦士の意図から離れて、もっとぶっ飛んだ、でも見た目は地味な形に変わっていって。

 楊令亡き後、革命戦士の二世たちが、親世代の背中を見ながら、志を自分なりに消化し、英雄たちを語り継ぎながら、新しい世界の形を作っていく。岳飛伝。

 

 その軸を通すのは、もちろん。

 楊令に子供扱いされていた岳飛ではなく。

 誰よりも死に場所を欲しがって、誰からも与えられない九紋龍。

 生ける伝説、湖塞の最後の生き残り、九紋龍史進。

 その生き様が、僕の中では、岳飛伝の大きなテーマであり、それはそのまま大水滸伝の軸、なんだよね。

 

 まだ、単行本が発売前だからね。

 その結末は、お楽しみに。

 

 今は、ただ、満足感と喪失感に浸ることにするよ。

 

 王進と林沖から始まった物語。最初から読み直すのも、いいな。

 

 ただ、それだけのはなし。



優柔不断のクルマ選び 〜マツダ車一気乗り!! CX-3、アテンザ、ロードスター〜2015年10月16日


 いいシーズンだよね。

 さすが体育の日、っていうか。

 

 ちょっと肌寒さを感じる、体育の日の三連休。

 インドア派の僕でも、ちょっと外に出たくなって。行ってきたよ。

 マツダのディーラーに。

 

 マツダの車、いいよね。

 かっこいいし、クリーンディーゼルだし、何よりスカイアクティブだし。

 SUVはあんまり視野に入らないから、CX-5とかあんまりぴんとこないのだけれど、アテンザ、アクセラ、CX-3はかっこいいよなあ。

 そして、もちろん。

 ロードスター。

 販売前の写真で虜になって。カーグラのTVや特集号買いあさって。ディーラーの展示車を眺めたりして。

 

 でも、乗りに行こう、って思わなかったんだよね。今まで。

 もうちょっと、機が熟すまで、待つべきじゃないのかな、って。

 我慢してた、んだけどね。

 

 まあ、夏休みがあって、5連休があって。この三連休は、そんなにがつがつ遊びにいく予定もないし。ちょっとお昼を食べに外に出たついでに、行ってみたよ。

 MT車のわりとありそうな、マツダのディラーさんへ。

 

 お目当てはね、ディーゼルエンジンと、ロードスター。

 

 VWの騒ぎがあって、Poloに乗っている僕も、肩身が狭い、訳でも無いのだけれども。ディーゼルエンジンは、なんか悪者にされているみたいで。

 クリーンディーゼルをがんばって作って、日本に広めようとしているマツダが、その割を食うのか、Made in Japanの底力を見せつけるかは、もうちょっと評価に時間がかかりそうなのだけれども。

 でも、昔に比べたら静かになめらかになって、低速トルクが豊かで、燃費も良いのなら、一度どんなモンかは試してみたいよね。

 

 という訳で、ディーゼルの二つのエンジン、乗ってきたよ。

 

 最初に乗ったのは、CX-3。1.5のディーゼルエンジン。AT車。


 マツダはね、クラスレスの質感を標榜していて。昔、トヨタの「いつかはクラウン」というコピーが作った、大きいクルマはステータスだ、っていう日本人に染みついた感覚を、どうにかして取り払おうとがんばってるんだ。

 つまり、リッターカークラスのデミオ、そのSUV版のように見えるCX-3でも、いい歳したおっさんが堂々と乗れる質感、っていうこと。

 内装の革の使い方とか、まさに高級感。

 エンジンはね、まあ、1.5だなあ、と。

 トルクは豊かなんだけど、アクセル踏んだ2.3秒あとに、カラカラと音をたてながら盛り上がってくる感じで。もちろん、同じ1.5でも、GWにレンタカーで借りたアクセラの1.5ガソリン車とは全く違うのだけれども。僕の乗っている1.4のツインチャージャーに慣れている身体では、なかなか刺激が無いなあ。

 刺激を求める車じゃないのだけど、ね。もともと。

 

 お次は、2.2ディーゼル。アテンザワゴン。

 

 いやあ。

 これはすごい。

 アテンザは、マツダのフラッグシップだからね。如何にクラスレス、といいながらも、やっぱりフラッグシップの高級感はすごい。

 外見の押し出しもさることながら、静かさ、アクセルに直結してもりもり湧いてくるトルク、路面の凹凸の上品な拾い方。

 いやあ。アテンザすごい。

 ただ、でかいんだよね。幅も広いし、長い。ワゴンなげー、って思ってたら、もし購入を考えるとするなら選ぶだろうセダンは、なんと、もっと長いんだね。後部座席にも配慮した結果で、ホイールベースも長いらしい。

 もちろん、それを含めての高級感、なんだけどね。でかいなあ。

 でも、いいなあ。これ。

 

 同じエンジンを積んだアクセラは、アクセラの中では最上級グレードで、それもかなりの高級グレードと言うことで、値段はあんまり変わらないらしいんだけどね、アテンザと。

 でも、扱いやすい大きさだし、ちっちゃいボディーにこのエンジンMTで、っていうのも面白そうだよね。

 ただ、このエンジン、というかこのクルマ、スポーティって言うより重厚、って感じだよね。そこまで大人になれるかなあ、僕。

 

 という事で、ディーゼルエンジン比べたあとは。

 お待ちかねの、ロードスター。スペシャルパッケージ。MT。

 


 いやはや。

 参りました。

 

 さっきの2台は、ディーラーの方が後ろのに乗ってくれて、試乗コースとしては結構長めのコースに行かせてくれたのだけれども。

 二人乗りのロードスターは、なんと。

 二人で勝手に、どこに行ってもいいですよ。1時間くらいで帰ってきてね。って。

 はじめて来た振りの客に、なんて太っ腹。マツダ。

 

 という事で、行ってきました。フリードライブ with ロードスター。

 MT久しぶりだから、一回駐車場をぐるっと回らせてもらってから、ね。

 

 ロードスターは、2代目の頃にちょっと試乗した以来かな。先輩が持っていた初代も、運転はさせてもらわなかったし。

 

 下道をちょっと走って。

 信号待ちで幌を空けて。

 空港をぐるぐる回って。幌閉めて。

 阪神高速をぐるぐる回って。

 家の前通って、ディーラまで、1時間半くらいかな、結局。

 

 うふふ。

 

 うふふ。

 

 この車のエンジンは、1.5のガソリンで。

 GWにレンタで借りて、「走らねー」っていいながら乗っていたアクセラのエンジンがベースなのだけれど。

 1トンって軽い車体と、MTの気持ちよさと。オープンの開放感と。

 多分、スカイアクティブが狙う人馬一体感。それは運転のしやすい姿勢であったり、FRの頭の軽さだったり、直接聞こえてくるエンジン音だったり。

 信号で待ってると、隣から感じる視線であったり。

 信号待ちのたびに開閉できるくらい簡単な、クローズとオープンの切替であったり、オープンでもそんなに巻き込まない風であったり。

 

 うふふ。

 

 これ、欲しい。

 

 がんばれば、中くらいの旅行鞄二つは積めるトランクであったり、ちっちゃめのセカンドバッグならどうにか入りそうな収納であったり。

 機密性や音もそんなに気にならない厚みのある幌であったり。

 実用性だって、無い訳じゃないし。

 

 うふふ。

 これ、欲しい。

 

 いかんいかん。妄想が止まらない。

 

 

 でもね。

 今回一番びっくりしたのは。

 アテンザの高級感でも、大きさを感じさせない運転のしやすさでもなく。

 ロードスターの楽しさでもなく(いや、これが一番かも、、)

 

 マツダのディーラーって、すごい。

 前の車を選んでいた5年くらい前、一度別のディーラーに行ったけど、その時とは全くの別物。

 

 予約もせずに振りで行った、1年以上購入予定無いよ、っていっている客に、試乗車3台も用意してくれて、ロードスターはフリーで乗らせてくれて。

 ついてくれたお兄ちゃんは、ホントに良くクルマのこと知ってて。マツダ車に誇りを持っていて。

 すごいなあ。

 

 ありがとね。

 

 あれ以来、僕の頭の中では、ロードスター、ロードスターってシュプレヒコールが鳴り止まないよ。

 いつか、迎えに来るからね。

 

 それまで、待っててね。

 マツダの車たち。

 

 ただ、それだけのはなし。


世界最高のバイオテク企業2015年09月10日


 アムジェンの元CEOが書いた、成長期真っ只中のアムジェン史。

 あ、アムジェンってね、バイオベンチャーから製薬企業に成長した会社。現在も独立を保っている、という条件を付け加えれば、文字通り世界最大のバイオテク企業、かな。

 科学者集団であったアムジェンに、経理畑のCFOとして参加して。製品がない時期の資金繰りに苦しみながら会社としての体裁を整え。シンプルかつ強力な社是を制定しぶれずに実行して。急成長していく中で必然的に起こる官僚主義、セクショナリズムを排除し。科学に忠実に、患者によりそうためには、科学者の無関心にも敢然と立ち向かう。
 有意義でやりがいのある目標を掲げ、気持ちいい仲間を集めて、気持ちよく働いてもらう。

 ただ、それだけのこと。
 きっと、難しいんだろうなあ。

 科学の成功物語ではなく、会社としてのバイオテク企業の黎明期を、科学者ではない経営者の目線で描いたこの本。いわゆるビジネス書にはあんまり興味もないのだけれど、これは、いろんな人に読んでほしいなあ。
 ハッとするところや、なるほど、って思うところが満載で。
 何より、元気になるから、ね。