寂しいね、ワールドカップなのに2010年06月07日


 さて、気が付かないうちに。

 サッカーのワールドカップが、すぐそこに来ているんだね。

 

 って、気が付かなかった訳ではないのだけれども、もちろん。

 世論に疎いミーハーの僕でも、今回はなんか盛り上がりに欠けるな、と思っていて。でも、今週末が開幕戦だとか、テレビでナカタとホンダの対談をやっていたりすると、ああ、そろそろなんだな、って思うんだよね。

 思っても、まだ盛り上がらないところが、ね。僕が歳を取ったのか、日本がそれどころじゃないからなのか、それとも代表の試合がつまらなくなったのか。そんなことは分からないんだけれども。

 

 結局、僕のサッカー熱は、4年前のブラジル戦のあと、黄色いユニホームをかぶって一人ピッチで寝転んでいたナカタの、あの瞬間で停まっちゃったんだね。

 やんちゃ坊主のホンダが、意地を張って蹴落とそうとしたシュンスケは、もうそんなことしなくっても落っこちて行きそうだし。

 そうでなくても、ワールドカップに出るために今年は日本に帰ってこよう、なんて考えるような人たちばっかりだし。

 

 誰一人氏として、感情移入できそうな人がいないんだもんなあ。

 

 でも、始まったらそれなりに、日本戦のみならず応援するんだろうなあ。

 そう思ってね、テレビ中継のスケジュールを確認したんだ。

 今回は、今回も、なのかな。全戦中継はスカパーに任せて。地上波とBSでは、44試合くらい中継してくれるのかな。

 えっと、グループリーグが6戦×8グループで、トーナメントが15試合+1だから、全部で64試合のうち三分の二は見られる、ってことだね。(うちは、なんか知らないけれどスカパーが映らないんだよね。チューナーはあるのだけれど。)

 

 まあ、三分の二も見れるんだったら満足、って思っていたのだけれど。

 よく見たら。

 トーナメントの+1、三位決定戦ってどこも中継しないんだ。地上波は。

 もちろん、三位決定戦は、ワールドカップの中で一番重要でない試合だよね、普通。だからこそ、NHKも放映権を買わなかったのだろうし。

 でも、それは普通、だよ。

 今回の日本にとって、三位決定戦って、どうよ。

 岡田監督の目標は、ベスト4で。

 っていうことは、決勝戦か三位決定戦が最後の試合になる、っていうことで。もちろん分からいえば、三位決定戦が最後の試合になる可能性のほうが何倍も高くって。

 そういう試合を、地上波では見られないって、あり?

 

 もちろんその前に、三位決定戦どころかグループリーグ突破も出来ない可能性のほうが何百倍も高くって。

 その判断には僕も異論を挟まないけれど。

 でも、日本の民放が誰も、ほんの少しの可能性も感じていない、っていう現実は、なんかちょっと寂しいなあ。

 

 そうではなくって、スカパーがこの試合だけは譲れない、ってがんばった結果だったのなら、それはそれで敬意を表したりもするのだけれどもね。スカパーのがんばりに。

 

 でもやっぱり。

 なんだかんだいったって、ナカタもオノもタナカタツヤもいなくったって。

 始まってしまえば、がんばれニッポン、っていってテレビの前で応援するんだろうなあ。

 

 お祭りだもの、楽しまなくっちゃ、ね。

 

 誰も見ていないからいうけれど、予想は3戦3敗、1得点。前回は2敗1分けを当てたけどね、嬉しくなかったな。

 

 今回は、予想を裏切って欲しいなあ。あたるよりよっぽど嬉しいだろうし、ね。

 

 がんばれニッポン。


ご苦労様、鈴木亜久里2008年05月26日

 ここ数年、僕は決してF1の熱心なファンというわけではないのだけれど。(なんかそんなことばっかりいってるね、この頃)
 それでも、僕が熱心にF1を観ていた頃に活躍していた鈴木亜久里が、自分のチームを率いてがんばってる姿がテレビに映ってたこの頃は、琢磨の分かりやすいキャラクターもあって、応援してたんだよね。スーパーアグリ。
 
 F1ドライバの、どのくらいの人が自分のチームを作りたいって思うのか分からないけれど。でも、僕がF1見始めてから20年くらい経つけれど、元ドライバの名前を冠したチームって、プロストとアグリくらいしか思いつかないよね。
 だとしたら、プロストに次ぐ、快挙、なんだよね。
 
 もちろん、弱小チームだからお金もなくって、ホンダから型落ちのクルマもらってちょこちょこ改良してがんばってたのだけれども。
 それでも、たまには予選でベスト10に入ったり、決勝だって8位入賞とか、6位入賞なんて奇蹟も見せてくれたりして。
 フェラーリとマクラーレンとウイリアムズとルノー。その間はずいぶん離れちゃってるけれど、4強が歴然としているエフワン界で、更にトヨタもホンダも本気になってる中で、ワークスチームが8位だ6位だって、優勝したような騒ぎになるのも当然なんだよね。
 
 そんなチームが、このまえのトルコから、消えちゃったんだ。解散。
 もちろんずっと、資金難だったのは知ってるんだけれどもね。
 
 僕はよく分からなかったんだよね。
 僕は地上波でしかエフワンを観られない人なのだけれども。そしてフジテレビのエフワン中継にはホントに我慢できない人なのだけれども。
 でも、それしか観られないからしょうがなく観ていて。
 そして、よく分からなかったんだ。
 なんで、スーパーアグリの、佐藤琢磨の話題が少ないんだろう、って。
 そりゃあ、日本人初のエフワンドライバ、中嶋悟の息子が、しかもウイリアムズに乗ってるとなれば、それも絵になるけれど。
 でも、判官贔屓の日本人。ワークスチームを、私財をなげうって(かどうか知らないけれど)作って、貧乏にあえぎながら希望に満ちたレースをするアグリと琢磨が、理不尽に無視されてる気がしたんだよね。特に今年の中継で。
 
 そして、トルコGP直前の、解散宣言。
 
 世事に疎い僕は、まだよく分からなかったんだけれども。
 
 今日、Numberのスーパーアグリの記事を読んでね。ああ、そういう事なのか、って。
 つまんない事なんだけどね。
 
 つまり、スーパーアグリの解散は、スポンサー探しの失敗と、レギュレーションの変更によるワークスチームの運営費上昇にあるのだけれど。
 決まっていた大手スポンサーの契約金不払いとか、交渉中の大手スポンサーの理不尽な撤退とか。決まりそうだったスポンサーには、ホンダから規模が小さいとかケチがついたりとか。
 結局、兄貴分のホンダが、弟分を見捨てたっていう風に断じる海外の新聞もあったりして。
 
 その理由が、ある人の推測によると。
 大手メーカーは、(自分のマシンやエンジンを使っている)弱小ワークスチームが、自分より人気があったり前を走ったりするのが許せない。って。
 
 確かに、去年の成績を見てみると、
 第4戦で1ポイント、そして第6戦で奇蹟の3ポイントを獲得したスーパーアグリは、終盤戦でがんばったHONDAに結局抜かれてしまうけれど、ずいぶん長い間、HONDAよりもポイントで勝ってたんだよね。しかも琢磨がいるから、日本での人気もおいてかれてたし。
 型落ちのマシン恵んでやってんのに、生意気な、って思ったのかも知れないよね。
 
 エフワン中継だって、ホンダのスポンサードだからね。生意気なスーパーアグリに時間を割くな、なんてこともあったかも知れない。
 わかんないけどね。
 でも、そうでも考えなかったら、ジャパンパワーなんて無様な標語を絶叫するエフワン中継で、琢磨や亜久里の話題は少なすぎたよね。
 もちろん、中嶋一点主義っていう短絡的なフジテレビの選択だって事も大いにあるのだけれど。
 
 でも、そんな可能性に思い当たってしまったら。そんなっていうのは、HONDAによるアグリいじめってことだけれども。
 そんな可能性に思い当たってしまったら、もう、スーパーアグリのいないエフワンなんて、見たくないな。
 少なくとも、アグリを見捨てた(のかも知れない)HONDAと、フジテレビの中継は、見るのも嫌だな。
 
 モナコでハミルトンが勝って、今年もやっぱりおもしろくなりそうなのだけれども、ね。
 
 鈴木亜久里さん。
 鈴鹿の表彰台とか、最後にスポットで出てリタイアしたあと、川井チャンのインタビューで「次がんばって下さい」っていわれて、「次はないよ」っていった寂しげな顔とか。名シーンが多かったね。
 結局日本人で一番速かったんだよね。
 
 ありがとね。
 スポーツは若いヒトの情熱を楽しむものだけれども、オッサンの情熱、確かに伝わったよ。
 エフワンを、嫌いにならないでね。
 おねがい。
 
 
 ただ、それだけのはなし。

史上最高の三つ巴 エフワン20072007年10月28日

 シューマッハが抜けて、どうなることかと思ったけれど。今年のエフワンは、とんでもなかったね。
 もちろん、とんでもなく、おもしろかった。
 
 去年までは、シューマッハのフェラーリも最後まで優勝争いをしてはいたけれど、二年連続ルノーのアロンソがチャンピォンになって。
 そして今年。
 シューマッハの抜けたフェラーリに、キミ・ライコネンが「勝つために」マクラーレンから入ってきて。
 そのマクラーレンには、チャンピォンチームのルノーを飛び出したチャンプ、アロンソが入ってきて。
 マクラーレンのもう一人は、ロン・デニスの秘蔵っ子、新人のハミルトン。
 アロンソ抜けたルノーは、代わりに入ったコバライネンと、居残りのフィジケラ。
 フェラーリのもう一人も、皇帝ミハエルの最後の相棒、マッサが残留して。
 
 前評判では、(僕は、もうあんまり雑誌も読まなくなったので、僕の前評判、ってことね)やっと来たライコネンの時代、それに挑戦者として絡む現役チャンピォンアロンソ。こういう構図だったんだよね。
 
 開幕戦は、ライコネン、アロンソ、そしてマクラーレンのハミルトン。
 それ見たことか、ライコネンの独走だ。とか思って、その後あんまり観てなかったのだけど、気がついたら、おもしろいことになってたね。
 
 開幕から四戦の優勝者は、ライコネン、アロンソ、マッサが二回。
 そして、この時点でのポイントリーダーは。
 なんと、マクラーレンの新人。優勝していないハミルトン、30ポイント。続くのはアロンソ28。脅威の新人、ハミルトン!
 
 開幕からずっと表彰台に乗り続けているハミルトン、6戦7戦を連勝して、その時点で58点。2位のアロンソ48点。マッサ39、ライコネン振るわず32点。
 優勝しなくても、三位になれば4点しか差がつかないポイント制を考えると、前半であっても26点の差は、もうチャンピオン争いから脱落、って思ってもちっとも不思議じゃないよね。
 あ、この時点でこの四人、リタイアはライコネンの一回のみ。マッサが一回失格になっているけれど。それ以外はみんなポイントを取っている。
 速いけれど、ちょっと取りこぼしのあるアロンソと、優勝しないときでもいつも表彰台のハミルトン。抜群の信頼性を持つマクラーレン。対するは、速いときはめちゃくちゃ速いけど、ちょっと波が荒いフェラーリ。そういう構図の前半戦。
 
 そこから、8,9戦とライコネンががんばって二連勝。次の10戦、リタイアだけれどもハミルトンに9位でおつきあいしてもらって運も向上。さあがんばろう、ライコネン。
 しかしね。
 中盤戦の終わり、12戦までを見ると、今年のエフワンがいかにとんでもなかったか分かるよね。
 12戦終了時、3勝が4人。
 誰一人抜け出すことができない優勝争い。
 ポイントリーダーは、相変わらずハミルトンの84。アロンソくっついて79。ライコネン縮まらず68。マッサも69。残り5戦。フェラーリ苦しい。
 
 このころからね、マクラーレンに不協和音が響き始めた。新人の(そして多分エフワン初の黒人である)ハミルトンに対するプレッシャー。王者のプライド、アロンソがおもしろいわけもなく、チーム内競争を公然と標榜するロン・デニスの元、確執は深まるばかり。
 さらに、スパイ疑惑によるコンストラクターズポイントの剥奪。
 そして。
 第11戦ハンガリーグランプリでの、確執の表面化。
 予選で、2台だけ別次元の速さで争うマクラーレン。終了直前、アロンソピットイン。あとからピットのハミルトン。
 普通に行けば、ハミルトンがぎりぎりの時間でもう一度、タイムアタックができるはずだったのに。
 アロンソのピットインが長引いて、ハミルトンピットに入れず。最後のタイムアタック間に合わず。予選2位。
 そのレースは、結局ハミルトンが優勝したのだけれど、その前戦での連続表彰台ストップ、0ポイントのあたりから、ハミルトンに暗雲が忍び寄ってきた。
 
 13戦のリタイアで、マッサがチャンピオンシップ争いから脱落して。残り4戦、ハミルトンとライコネンの差は18。リタイアのないハミルトンを考えたら、普通は勝負あり。
 
 ところが、14戦から3つで、二つ勝ったライコネンは、ハミルトンのリタイアに助けられて、最終戦を前に差を11詰めて7点差。
 
 ここで整理をしておくと。残り一戦、三つ巴。
 ハミルトン107、アロンソ103、そしてライコネン100。勝ち数はライコネン5、アロンソ、ハミルトンが4。
 可能性としては、誰にでもある。
 でも、現実的には、自力優勝のあるハミルトンが絶対有利で。
 
 最終戦。
 予選結果は、地元のマッサ、ハミルトン、ライコネン、アロンソ。このまま行けば、史上初の新人チャンピオン!
 
 スタート。
 焦ったのかハミルトン。1コーナーでライコネンに抜かれ、すぐあとにアロンソに並ばれてコースオフ。1周で8位まで落ちた。フェラーリはワンツー。
 この時点で、マッサ、ライコネン、アロンソ、そして8位にハミルトン。
 マッサがライコネンに(合法的に)譲れば、ライコネンのチャンプが見えた!
 
 もちろん、そうはさせじのハミルトン。これから見せるごぼう抜き。
 と思ったところ、7周で謎のスローダウン。すぐにペースは戻ったけれど、順位は18位。
 これ、本人曰く、焦ってエマージェントボタンを押してしまったらしい。電気系がリスタートしている間、全く走れなかった。
 いつぞやの、最終コーナーを立ち上がれないナイジェル・マンセルを想い出すよね。ひょっとしてハミルトンって、天然?
 
 二度目のピットインで、マッサをかわしたライコネン。アロンソを阻むマッサの紅い壁(ライコネンが優勝したら、アロンソがチャンプになるためには2位が必要)。
 そうなると、興味はハミルトン。
 18位まで落ちたハミルトンのごぼう抜き。4点とれば、5位になればチャンピオン。
 
 がんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって。
 ハミルトン7位まであげてきた。
 でも、そこで71周終了。万事休す。
 
 勝ったのは、ライコネン。
 ハミルトンとアロンソ、1点差の同点。
 
 こんな事って、あるんだね。
 誰の独走も許さなかった、マクラーレンの足の引っ張り合いと、(前半の)フェラーリの信頼性のなさ。
 土壇場で、チームプレーに専念できたフェラーリと、譲れなかったマクラーレン。
 
 漁夫の利というには、苦しすぎるシーズンを勝ち抜いたライコネン。
 僕がまじめにエフワンを見ていた最後の時期にやってきた脅威の新人。やっと勝ったね。
 おめでと。
 
 ただ、それだけのはなし。

シューマッハ、ラストラン2006年10月23日

 僕は、受け入れなくちゃいけないんだよね。
 あのシューマッハが、もう来年は走らないんだ、っていう事実を。
 そのシューマッハが、今年は勝てずに終わった、っていう事実を。
 そして。
 シューマッハのラストランを、テープの巻き戻し忘れっていう情けない理由で、僕は観ることができない、っていう事実を(;。;)。
 
 ああ。
 その前に、僕は謝らなくちゃいけないね。
 
 4月のサンマリノグランプリ。
 3戦終わったところで、アロンソに17ポイントも差を付けられていたシューマッハが、予選でポールを獲得したときも、そのポールから、凄まじい追いかけっこを制し続けて優勝したときも、僕はこのブログに書いたのだけれども。
 僕は、その時、あのシューマッハの輝きを。
 燃え尽きる花火の、最後の明るさだって、思ったんだよね。
 ホント、失礼だったね。ごめんなさい。
 
 最初の3戦で17ポイントついた差は、その後もじりじり広がって、全18戦の折り返し、9戦目のカナダGPでは25ポイントにまでなったんだ。
 いまのルールでは、1位と2位のポイントさは2点しかないから、この時点でシューマッハの自力優勝はないのだけれども。
 
 でも、折れないシューマッハ。
 ルノーの車についていた部品が、レギュレーション違反を問われて使えなくなったことや、来年撤退の決まっていたミシュランタイヤの開発速度が遅くなったことなんかも味方して、そのあとの7戦で5勝。アロンソとのポイント差をあれよあれよと0にした。
 
 残り2戦。
 1勝1敗ならばシューマッハの勝ち。
 しかも、引退を宣言しての背水の陣。
 
 そして、ラストツー、鈴鹿。
 20年続いた鈴鹿グランプリ。最後の年。
 
 トップを走っていたシューマッハ。36週目でエンジントラブル。リタイア。

 この瞬間に、今年の、そしてシューマッハのチャンピオンシップは、実質的に終わったのだけれども。
 
 25ポイント差を付けられてから7戦。差を広げられたら実質終わってしまうChampionshipをタイトロープダンシングで全力疾走したシューマッハ。
 9戦でついた差を、7戦で取り返したシューマッハ。
 泣いても笑っても、残り2戦のシューマッハ。
 そんなこんなが、完璧のコントロールを持つ彼に、ちょっとだけリミッターを越えさせちゃったのかな。そんなエンジンブローだったよね。
 もちろん、先に越えちゃったのはメカニックなのかも知れないけれど。
 ああ、これが、彼が引退を決意した理由なのか、って。妙に納得しちゃったりして。
 
 
 もちろん、勝つ可能性が0になったわけではなくて。迎えた最終、ブラジルグランプリ。壮絶な(という噂の)、ラストラン。
 
 観たかったな。
 予選のトラブルで、10番グリッドからスタートのシュー。
 1週目で6位まで順位を上げたシュー。でも、その直後にタイヤバースト。最後尾まで落ちても、あきらめないシュー。脅威の追い上げ。
 
 ああ、くやしいな。
 だれか、録画した人いたら見せてよ。おねがい。
 
 ただ、それだけのはなし。

二つの断層2006年08月05日

 また、ヒデのことだけれど。
 ヒデ、中田英寿について書くことが出来る文章家って、そう多くないんだよね。彼自身が持っているインテリジェンスをきちんとコンテクストに落とし込めるインタビュー力と、文章力がなければいけないし、何よりヒデの身近に飛び込める人間、っていうのが限られているからね。
 
 限られた人数、っていうの多分四人。金子達仁、小松成美、村上龍、そして中田英寿自身。具合の悪いことに、中田自身がきちんとホームページに発表してくれていた(いた!(;。;))文章のおかげで、中田記事の出来を測るハードルが、グンと高いところに設定されてしまったんだけどね。
 
 この四人の中で、村上龍はNumber PLUSのエッセイ以上のことは多分何も言わないだろうし、ヒデ自身もそう。とするとカネコタツヒトと小松成美を楽しみにするしかないのだけれど。
 とはいえ、僕は小松成美の本は読んだことがないんだけれどもね。
 
 というわけで、雑誌「ゲーテ」の中田特集、by小松成美。ほんとは買わないつもりだったんだけど、やっぱり中田の記事欠乏症になって、買っちゃったよ。
 
 多少感傷的な、でも視点がどこにあるのかよくわからない文章はまあこの際おいといて、引退を知りながらワールドカップ前後密着取材をしていた唯一のジャーナリストだろうから、いろんなエピソードは面白かったんだけれど。
 
 でもさあ。この一文でなんか、読む気をなくしたよ。
 
 中田と代表メンバーとの亀裂は徐々に広がり断層にまでなっていた。
 
 いやいいけれどもね。
 断層って。
 これってカネコタツヒトの出世記事のタイトルだよ。しかもアトランタ五輪の時の、やっぱり中田がらみのチームの亀裂を描いた記事の。
 なんだかなあ。
 同じヒデの語り部として、お互い意識している部分もあるはずだから、知らないわけもないし、無自覚に使った言葉ではないんだろうけれど、それにしても、ひねりがないよなあ。
 
 そんなこんなで、ちょっとフラストレーション。
 だから、カネコタツヒコさん。ヒデの本書くのなら、いやワールドカップの本でもいいのだけれど。早くしてよね、なるべく。
 
 ただ、それだけのはなし。