山下達郎 at 神戸国際 ― 2022年11月16日
多分、みんな知っているようで、本当は信じていないのだと思うのだけれども。
山下達郎って、本当にいるんだよ。
活きていて、動いて、唄ったりもする。
たぶん、この眼で見ないと信じられないんだと思うけれども、ね。
僕は、熱心な山下達郎ファン、という訳では全くなくて。
リアルタイムに聴いたアルバムは、On The Street Cornerの最初のやつだけで。それだってレンタルレコードをダビングしたカセットテープ。
だから、山下達郎のイメージといったら、どっちかって云うとオタクの総本山、なんだよね。だって、無伴奏のアカペラdoo wopアルバムを、一人で創ってんだからね。オタクだよね。
毎年聴く超ロングセラー、クリスマスイブのCM15秒だけでは、Popの権化、って分からないよね。竹内まりやのライブアルバムに、達郎がコーラスで入ってた曲があったから、歌は超絶上手い、って言うのは知ってたんだけどね。
歌謡曲とJazzしか聴かなかった学生時代には既に大御所扱いだったから、そこから接点が生まれるとはあんまり考えていなかったんだけど。
家人に、4枚組のベスト盤を借りてって頼まれて、そこから車の中でたまにかかるようになって。
今回の新しいアルバムのプロモーションでテレビにも(声だけ)でたりして、達郎について語る人たちの言葉を聞くことが多くなって。
でも、新しいアルバムはサブスクでは聴けないから、結局買っちゃったりして。そこにおまけでついていたライブ音源がすごかったりして。
そんなときに、ダメ元で抽選に応募してみたら、なんと当たっちゃったんだよね。神戸国際。
というわけで、達郎のライブ、初体験。
ホールのコンサートって、このごろ太田裕美とか高橋真梨子とか、薬師丸ひろ子とかにいっても、あんまり凝ったセットって見かけないし、それで全然気にならないから、山下さんもそうだとばっかり思っていたら、結構作り込んであるセット。ちょっとレトロなどこぞのダウンタウン。神戸国際の大きなステージだと少し横のスペースがあまってて、ああ、市民会館とか津々浦々廻る用のセットなんだ、ってなんか感激。
チケット転売防止のために、顔写真入りのIDとの照合があって入場に時間がかかる、とか脅されて早めに行ったけれど、ほとんど並ぶこともなくスムースに入場。だから灯のついていないセットをぼーっと見てたのだけれども。
隣の家人はずっとテンション高くて、待ち時間を愉しんでいたみたいだけどね。
そして、時間通りに始まったライブ。
さっき言ったように、決して熱心な聴き手とは言えない僕でも、チケット取れてからは、Sugar Babe含めていくつかのアルバムを聴いて。
そんな中で、自分なりの山下達郎像を造ってきたんだけどね。
それは、歌とコーラスとリズムのエンジニア、みたいな感じなのだけれど。
ところが、一曲目で、それだけじゃないぞ、って思い知らされたんだよね。
ああ、この人はギタリストなんだ、って。
それも、めちゃめちゃ鋭いカッティングのギター。
なんて曲か分からないけれど、「夜と往け」ってやつと、つぎの「あまく危険な香り」。のっけの2曲のイントロのカッティング、かっこいいなあ。
ギターのつぎは唄かな。歌詞の明瞭に分かる唄は、全て原曲キーを保っている声もそうだけど、やっぱりリズム感なんだよね。僕が心地よく感じるのって。
もうなんやら刺激が多すぎて、なんやら分からんけど。一人アカペラや、一人ノーマイクのシャウトやら、曲のたびに変わるギターやら、難波弘之さんががんばっているツインキーボードやら。
「今までで一番受けた」カバー曲で大滝詠一やら、自作の近藤真彦やら。
ヒットチャートを常に賑わした、って言う訳ではないし、武道館はやらん、っていうから多分フェストか神戸国際が一番大きいくらいのホールを丹念に廻っているのだろうし。テレビに出ず顔は出さないし。
山下達郎は、一体なにになりたいんだろう。
すごく愉しみながら、ずっと考えていたよ。
自分が出ていく事に興味があるのか、自分くらい歌えるヒトが他にいないから自分で歌っているのか。
Popの真ん中に位置する音を創りながら、流行歌として消費することに、多分最初から真っ向からあらがって。
Popといわれている音楽の中で、質のいいものを創りたかったのか、作り続けたかったのか。
結論は、PopStarではなくて、職人さんなんだなあ、ってこと。多分、みんな百も承知なのだと思うけれど。
すごく良いものを聴いたよ。
来年からはライブ盤が何回かに分けて出るらしいから、それを聴きながら、つぎの抽選に当たる幸運をまた楽しみにしよう、っと。
あ、過去盤のアナログも順次出るらしいから、それも、かな。
ただ、それだけのはなし。
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