フェニーチェ堺の、ベートーヴェン by NDR ― 2022年12月18日
なんだかんだで、行く機会が多いんだよね。フェニーチェ堺。
大阪の端っこに住んでいる僕にとって、車ですぐに行けて、リーズナブルな駐車場もあって。そして、フェスやシンフォニーホールに来てくれない魅力的な演奏家達が来てくれる、というところで、いずみホールも入れると、4つめのチェックすべきホール、ということになるんだね。
今回は、ちょっと前だけれど。
NDR 北ドイツ放送フィルハーモニー交響楽団の、ベートーヴェンプロ。
NDRは、朝比奈のじいさんが何枚か録音を残していたり、「演奏技術ではベルリンフィルより上」みたいなことを言っていた(と朧に記憶している)り、オオウエエイジが常任になっていたことがあったり、で勝手に親近感が湧いているんだよね。派手じゃないけど渋そう、って。
何より、本場のベートーヴェン、ってあんまり聴く機会がないんだよね。ウィーンやベルリンから来るなら、もう少し大きかったり煌びやかだったり、というものを求めてしまう貧乏性、なもので。..
という訳で、聴いてきたよ。NDR。
ベートーヴェンも、3番だと、まだトロンボンが入らないんだよね。だからなのか、広いとは言えないフェニーチェ堺のステージにも、きつきつではなく楽々入る大きさの編成で。ロンドンフィルとは大違いだね。
そして、ゲルハルト・オピッツのピアノで、皇帝。
その前の日に、大フィルさんの定期でミシェル・ダルベルトというヒトのピアノでモーツァルトの狂想曲を聴いたのだけれど、これは、あんまり印象に残らなかったんだよね。ピアノがあんまり前に出てこないな、って言うくらいで。
それが、オピッツさんの皇帝は。
なんだろう、やさしいんだよね。音が丸っこくて。もうひとつきほど前の演奏会だから、記憶の方も細部がとれて丸っこくなっているのだけれど、なんかしあわせな時間だな、と思ったのは良く覚えているよ。
その前のエグモント序曲では、爆発するベートーヴェンを堪能したのだけれどもね。
そして、英雄。
なんていうんだろうね。この英雄は、生々しい。席が前の方だったからか、編成が小さくて音の分離が良かったからか、普段は響きに入ってしまって聞こえてこない、筋肉の筋、みたいなものが見えてくるような演奏で。だからといってグロテスクではなく。弦楽器も、大フィルさんの大編成に比べると少ないんだけれど、一人一人の音が合わさっているんだな、って言うのがよく分かるような、そんな演奏。
なんかしあわせな演奏会だったな。
アンコール曲は、「羊飼いの娘の踊り」って言っていたけれど、誰の曲か分からなかったら、フェニーチェのホームページに乗ってた。ヒューゴ・アルヴェエーンの、組曲「山の王」より、という事でした。楽しい曲だったね。
やっぱり、一月前の演奏会はキジにするほど思い出せないや、ごめんなさい。
ただ、それだけのはなし。
大フィルさんの、激アツ・巨人 ― 2022年12月18日
なんか、秋のコンサート週間になっていて。
昨日は大フィルさんの定期で。今日はNDRのコンサートなのだけれど。
昨日の、巨人。
すごかったんだよ。
マーラーはあんまり好んで聴く方ではなくって、特に1番は交響曲としてどうよ、と思ったりもしているのだけれど。
それでも、演奏効果は抜群で。
昨日みたい歯切れの良い、しかも大編成を鳴らし切って、ソロもそれぞれものすごい、そういう演奏を聴くと、楽しいんだよね。
袖で吹くラッパ隊、ベルアップしたり立って演奏したり大忙しのホルン。やっぱりきれいな音色のトロンボン。これらの金管に加えて。
マーラーの効果音担当、なのか分からないけれど、効果音的なフレーズを、チャーイングに吹ききるクラリネットや、ソロでフェスを満たす弦バスのトップとか。
なんなんだろうね。
外国人の指揮者だから、なのかよく分からないのだけれど。
デュトワのときもそう感じたのだけれど、こういう、フレーズの端々、ノリが「違う」と思うのって、外国人指揮者の時が多いんだよね。
もちろん、脳内補正である可能性が高いのだけれども。
でも、脳内補正でも良くて。
そういう演奏にまた逢えるようになったのは、嬉しいよね。
それにしても、あの大編成をフルに鳴らして、濁りがない大フィルさんって、すごいな。
ただ、それだけのはなし。