オオウエエイジの、マラ5 ― 2009年02月21日
ひさしぶりに、想いだしたよ。
息をするのを忘れることって、あるんだね。
いつもの二日目から一日目の演奏会に振り替えて、大フィルさんの用意してくれた席は、前から5列目の左側。ステージいっぱいに広がったヴァイオリンの、一番後ろの人の真っ正面くらいかな。
なんかなじみのある席。アングル。
ああ、そうだ。じいさんの一般参賀を間近で見たくて、このあたりの席に座ったことがあったな、昔。
開演直前に息を切らせながらホールに飛び込んだらね、今日の終演時間は9時45分を予定していますっていう張り紙。あれ、マーラーだけじゃなかったんだ。
プログラムを見たら、マラ5の前にモーツァルトのピアノ協奏曲があるんだね。それで長丁場なんだ、こんなに。
席はちょうどね、オオウエエイジを見るとその視線の途中にソリストが見えるっていう、ありがちな写真のアングルのような席。 協奏曲は、まあモーツァルトで。あんまり演奏がどうってわかんないんだよね。ただ、今回の曲なのか、席のせいなのかはわからないけれど、やたらピアノが裸になるところが多かったような気がして。その緊張感の保ち方がよかったんだよね。
昼間の長い会議で消耗していた僕でも、ピアノ協奏曲なのに、ちっとも眠くならずに楽しめました。ピアノの音は僕の好きなぱらぱら系ではなく、まるまる系でまあ、そんなもんでしょう、っていうかんじなのだけれど。
結構ヴォリュームのある第一部の休憩のあと、マーラー。
オオウエエイジのマーラーって、2番と6番と、単発でやった1番(2回だっけ?)で4曲目になるのかな。僕にとっては特に大好きな作曲家っていうわけではないけれど、楽しいしわくわくするし、なによりオオウエエイジらしい、っていうイメージがあるよね。6番はちょっといまいちだったけれど。
さて、演奏は。
前から5列目だと、ヴァイオリンの外側の人しか見えないんだよね。低い位置だし、近すぎて。
だから、最初のラッパが、ステージの上から吹いているのか、袖で吹いているのかよくわからなかったのだけれど(最後にたたせたラッパがものすごく左側にいたから、たぶんステージの上で吹いていたんだね)。すごいね。細かいところでちょっとはずれちゃったから、もしCDになるとしたら明日の演奏になっちゃうのかもしれないけれど。でも、あの素直な音と、何よりも特に中音域の響き、好きだなあ。
今日の演奏のね、僕の中のキーワードは、この中音域。ホールの響きっていうよりも生音が直接聞こえてくる今日の席だから、もちろん僕は音に満たされているのだけれど、でもその音場がどれくらいまで伝わっているかはわからないんだ。だけど、ラッパの、ホルンの、そして弦楽器の中音域のロングトーンの響き。これはすごかったな。
迫力が凄いとかそういうことではなくってね。そんなに力を入れずに、軽く演奏しているようなのだけれども、ちょうどホールと共震する周波数にぴたりとはまったみたいに、そこかしこから音が降り注いで、どこで演奏しているのか、5メートル先に見えているのにわからなくなる瞬間が、たくさんあったんだよ。
オオウエエイジ的な聴かせどころ満載な曲でね、久々のトロンボンの咆哮をはじめとするブラスはもちろん、木管もハープも、みんなみんないいとこがあって。
でも、今日の主役はなんたって弦楽器だよね。それもいつものチェロとコントラバスだけじゃなくって、高音域のヴァイオリンのイロっぽさ。いや、いろっぽさっていうのではないな、なんていうんだろう。
この曲は、管弦を問わず、ロングトーンが多いよね。ぼくも管楽器を吹いていたことがあるから(かどうかは知らないけれど)、きれいなロングトーンを聴くと、一緒に息を吐き続けて、苦しくなるときがあるんだよ。例えばじいさんやヴァントじいさんのブルックナー8番や9番のアダージョの終わりとか、ね。
たいがいそういうところって、ホルンとかワグナーチューバのロングトーンだから、まあ一緒に息を吐いていても死にはしないよね。かわりばんこに息してるのがわかるし。
でも、今日の曲はね、ヴァイオリンのロングトーンが続くんだよ。これは反則。だって息継ぎしないんだもん、あいつら。
四楽章だっけ、その前のお祭り騒ぎが静まって、弦の延ばしになるところ。一緒に息を吐いていた僕は、酸素が足りなくなって、ブラックアウト直前のいい気持ちになって気がついたよ。ああ、息するの忘れてたんだ、って。久しぶりだな、そういう感触。
そのあと、五楽章で本当のお祭り騒ぎがやってくるのだけれど、僕はそこをかなりの部分、聴き逃してしまったよ。
ちょうどその寸前、ヴァイオリンがパート譜の最後の2ページ目をめくったあたりで、コンマスの長原君が隣の人と楽器を交換してるんだよね。隣の人は後ろで弾いていたお姉さんと楽器を交換して。そのお姉さんが紙袋から新品の弦を取り出して、そこで交換し始めたんだ。
前にもそういうことがあったけど、そのときはバケツリレーで後ろまで楽器を回して、袖で交換してたからね、プロの弦交換なんて始めてで、そっちに注目してたらお祭り聴き逃しちゃった。まあいいや、おもしろかったから。
もう一つ。
今回の席から、右の方のカメラブースのガラスをみると、明るいステージじゃなくって、暗い壁をバックに指揮するオオウエエイジが映っていてね。よくほんの表紙とかポスターでみるアングルと表情。たまに首を巡らせてそんなのをみるのも楽しかったな。
でも、ずいぶんやせたね、オオウエエイジ。ダイエットならばいいけれど、体には気をつけてね。
ただ、それだけのはなし。
大阪フィルハーモニー交響楽団
第425回定期演奏会
1日目 1階E列7番 A席
ザ・シンフォニーホール
息をするのを忘れることって、あるんだね。
いつもの二日目から一日目の演奏会に振り替えて、大フィルさんの用意してくれた席は、前から5列目の左側。ステージいっぱいに広がったヴァイオリンの、一番後ろの人の真っ正面くらいかな。
なんかなじみのある席。アングル。
ああ、そうだ。じいさんの一般参賀を間近で見たくて、このあたりの席に座ったことがあったな、昔。
開演直前に息を切らせながらホールに飛び込んだらね、今日の終演時間は9時45分を予定していますっていう張り紙。あれ、マーラーだけじゃなかったんだ。
プログラムを見たら、マラ5の前にモーツァルトのピアノ協奏曲があるんだね。それで長丁場なんだ、こんなに。
席はちょうどね、オオウエエイジを見るとその視線の途中にソリストが見えるっていう、ありがちな写真のアングルのような席。 協奏曲は、まあモーツァルトで。あんまり演奏がどうってわかんないんだよね。ただ、今回の曲なのか、席のせいなのかはわからないけれど、やたらピアノが裸になるところが多かったような気がして。その緊張感の保ち方がよかったんだよね。
昼間の長い会議で消耗していた僕でも、ピアノ協奏曲なのに、ちっとも眠くならずに楽しめました。ピアノの音は僕の好きなぱらぱら系ではなく、まるまる系でまあ、そんなもんでしょう、っていうかんじなのだけれど。
結構ヴォリュームのある第一部の休憩のあと、マーラー。
オオウエエイジのマーラーって、2番と6番と、単発でやった1番(2回だっけ?)で4曲目になるのかな。僕にとっては特に大好きな作曲家っていうわけではないけれど、楽しいしわくわくするし、なによりオオウエエイジらしい、っていうイメージがあるよね。6番はちょっといまいちだったけれど。
さて、演奏は。
前から5列目だと、ヴァイオリンの外側の人しか見えないんだよね。低い位置だし、近すぎて。
だから、最初のラッパが、ステージの上から吹いているのか、袖で吹いているのかよくわからなかったのだけれど(最後にたたせたラッパがものすごく左側にいたから、たぶんステージの上で吹いていたんだね)。すごいね。細かいところでちょっとはずれちゃったから、もしCDになるとしたら明日の演奏になっちゃうのかもしれないけれど。でも、あの素直な音と、何よりも特に中音域の響き、好きだなあ。
今日の演奏のね、僕の中のキーワードは、この中音域。ホールの響きっていうよりも生音が直接聞こえてくる今日の席だから、もちろん僕は音に満たされているのだけれど、でもその音場がどれくらいまで伝わっているかはわからないんだ。だけど、ラッパの、ホルンの、そして弦楽器の中音域のロングトーンの響き。これはすごかったな。
迫力が凄いとかそういうことではなくってね。そんなに力を入れずに、軽く演奏しているようなのだけれども、ちょうどホールと共震する周波数にぴたりとはまったみたいに、そこかしこから音が降り注いで、どこで演奏しているのか、5メートル先に見えているのにわからなくなる瞬間が、たくさんあったんだよ。
オオウエエイジ的な聴かせどころ満載な曲でね、久々のトロンボンの咆哮をはじめとするブラスはもちろん、木管もハープも、みんなみんないいとこがあって。
でも、今日の主役はなんたって弦楽器だよね。それもいつものチェロとコントラバスだけじゃなくって、高音域のヴァイオリンのイロっぽさ。いや、いろっぽさっていうのではないな、なんていうんだろう。
この曲は、管弦を問わず、ロングトーンが多いよね。ぼくも管楽器を吹いていたことがあるから(かどうかは知らないけれど)、きれいなロングトーンを聴くと、一緒に息を吐き続けて、苦しくなるときがあるんだよ。例えばじいさんやヴァントじいさんのブルックナー8番や9番のアダージョの終わりとか、ね。
たいがいそういうところって、ホルンとかワグナーチューバのロングトーンだから、まあ一緒に息を吐いていても死にはしないよね。かわりばんこに息してるのがわかるし。
でも、今日の曲はね、ヴァイオリンのロングトーンが続くんだよ。これは反則。だって息継ぎしないんだもん、あいつら。
四楽章だっけ、その前のお祭り騒ぎが静まって、弦の延ばしになるところ。一緒に息を吐いていた僕は、酸素が足りなくなって、ブラックアウト直前のいい気持ちになって気がついたよ。ああ、息するの忘れてたんだ、って。久しぶりだな、そういう感触。
そのあと、五楽章で本当のお祭り騒ぎがやってくるのだけれど、僕はそこをかなりの部分、聴き逃してしまったよ。
ちょうどその寸前、ヴァイオリンがパート譜の最後の2ページ目をめくったあたりで、コンマスの長原君が隣の人と楽器を交換してるんだよね。隣の人は後ろで弾いていたお姉さんと楽器を交換して。そのお姉さんが紙袋から新品の弦を取り出して、そこで交換し始めたんだ。
前にもそういうことがあったけど、そのときはバケツリレーで後ろまで楽器を回して、袖で交換してたからね、プロの弦交換なんて始めてで、そっちに注目してたらお祭り聴き逃しちゃった。まあいいや、おもしろかったから。
もう一つ。
今回の席から、右の方のカメラブースのガラスをみると、明るいステージじゃなくって、暗い壁をバックに指揮するオオウエエイジが映っていてね。よくほんの表紙とかポスターでみるアングルと表情。たまに首を巡らせてそんなのをみるのも楽しかったな。
でも、ずいぶんやせたね、オオウエエイジ。ダイエットならばいいけれど、体には気をつけてね。
ただ、それだけのはなし。
大阪フィルハーモニー交響楽団
第425回定期演奏会
1日目 1階E列7番 A席
ザ・シンフォニーホール
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