I miss you, Ayrton セナ没後20年 Number特集号2014年05月13日


 あれから、20年も経つんだね。

 1994年5月1日から。

 

 あの頃、僕は就職したばっかりで。日割りでもらった4月分の初任給はすずめの涙ほどで。

 GWを僕が一月前まで住んでいた北陸の地で過ごすために、夜の下道で行く予定を立てていて。F1見てから行こう、ってテレビをつけたら。

 番組の始めから、川井チャンとアナウンサーが泣きながら立っていて。

 とんでもないことが起こってしまいました。って。

 どれだけとんでもないか、すぐには、よく、分からなかったんだけど。

 後ろにつけていたシューマッハのカメラからは、なだらかなカーブを右に吸い寄せられて壁にぶつかるセナのウイリアムスが見えていて。

 セナの車載からは、右フロントのタイアがサスごと折れて襲いかかってくる画像が見えて。

 クラッシュしたウイリアムスのとなりには、寝そべったセナが見えないほどの人だかりが出来ていて。

 

 とんでもないことが起こった。

 それがようやく分かったのは、ヘリで連れ去られたセナが寝かせられていた場所に、血だまりが残っていたのが見えたとき、なんだよね。

 

 

 あれから、20年、なんだね。

 

 Numberの、セナ特集号が発売になったのは知っていたのだけれどもね。

 すぐには手が出なかったんだよね。

 そんなの読まなくたって、セナの事は良く知っているし、セナの想い出を、商業主義で汚されたくない、とかいう訳のわからない思い入れもあったりして。

 単純に天邪鬼なのは20年前からなんも変わってないなあ、なんて自己分析などしてみたりもして。

 

 だけど、やっぱりどうしても我慢できなくなって。

 久しぶりに買ったよ。

 次の号の発売日の直前に、立ち読みでよれよれになった、Number。

 


 新大阪から東京に向かう新幹線で、珍しく一睡もせずに、読んだよ。

 

 泣きながら。

 

 

 僕がF1を見始めたときには、既にセナはプロストと並び立つスーパースターで。

 政治力を含んで老練なプロストに、ブラジル人ということでヨーロッパの貴族の遊びであるF1界から差別されながらもとびっきり速い、しかも親日家のセナ。

 それがなぜか同じチームにいて、案の定ぎしぎししている。そういうタイミング。

 

 この前映画で見た、ニキ・ラウダとJ・ハントのように、プライドと技術が、マシンの序列を飛び越えることが出来た、最後の時代。

 

 鈴鹿の1コーナーでのクラッシュや、モナコのマンセルとの壮絶な4周のバトル。そして、アレジとの魂のサイドバイサイド。

 そういう、あれやこれやが、想い出されてきて。

 

 そして、プロストのインタビュー。

 セナの死後3ヶ月でのこのインタビュー。僕は読んでいたはずなのだけれどもね。だから、セナとプロストが、深い友情で結ばれていたのは知っていたはず、なのだけれども。

 でも、知らなかったな。

 イモラのフリー走行時。

 テレビ局の企画で、セナの車載カメラでコースの解説があって。

 そこで、セナがプロストに送ったメッセージ。

「僕の友人にメッセージを。I miss you, Alan.」


 それから、セレソンとセナ。

 当時、国がものすごく不安定で、サッカー代表セレソンはツマラナイ国に負けて、もうすぐ開幕するW杯には危機感がいっぱいで。

 そういう時に出逢った、セナと監督。

「国民の希望を分け合って背負おう。共に4度目の優勝をしなければいけない年なんだから」

 その数ヶ月後、セナは逝ってしまって。

 国民の希望を一身に背負わなくてはならなくなったセレソンは、セナと一体になって、見事W杯をもぎ取ったんだね。

 

 セナ。

 20年経っても語られる。

 資料を繙くことなく、記憶だけで語られる、そういう存在。

 僕にとっては、朝比奈さんとセナ、くらいなのかな。ガンダムもそうかな。

 

 あの頃、年に4回くらいのF1特集号をむさぼるように読んだNumber。ありがとうね。良い特集だったよ。

 

 ただ、惜しむらくは。

 シューマッハのインタビューがないのが、寂しいよね。

 「あのブラジル人」を打ち破って王座につくはずだったのが、蹴落とす脚が空振りして。そこから孤独な皇帝にならざるをえなかった恨み言。セナの優勝回数を抜いた時のインタビューの涙。

 そういう話、聴きたかったな。

 これから、聴かせてくれるよね。シューマッハ。

 はやく良くなってね。

 

 ただ、それだけのはなし。

 

 

 


コメント

_ マーク ― 2015年07月23日 23時54分

事故の車載映像は公開されてないんですね。
他の映像と勘違いしていたようです。
御指摘いただき、ありがとうございました。

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