大フィルさんの、壮大なアルプス交響曲2010年02月18日

 大阪フィルハーモニー交響楽団

 第435回定期演奏会

 

 シューマン:ピアノ協奏曲

 R.シュトラウス:アルプス交響曲

 

 大植英次:指揮

 フランチェスコ・ピエモンテーシ:ピアノ

 

 久しぶりに、大フィルさんの演奏会の話題を、しかもその日のうちに書くよ。だって、あまりにも。

 面白かったんだもん。

 

 リヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲が、メインの曲だったんだけれどもね。

 

 最初のピアノ協奏曲。もう、あまりにも心地よくてね。瞼が重くて重くて。

 本人的には、ぐっすり寝ていて聴いていない時間って言うのはほとんどないと思うのだけれども、気持ちいい音楽を聴きながら夢うつつのうとうと状態。存分に楽しんだよ。

 

 そして。

 こっからちょっとの間、あさっての東京定期を聴く人もいるかも知れないから、ネタバレ注意って言うことで付箋を貼らせてもらうけれど。(東京公演が終わって、ネタバレ注意がいらなくなったから剥がしました)

 

 アンコール。
 芝居ががって大仰にいやがるオオウエエイジを隣に座らせるピエモンテーシさん。連弾で始まったスラブ舞曲。もちろん華は高音部のモンテーシさんにあるんだけれど、アイコンタクトでテンポとキメのタイミングが動く動く。
 皮の燕尾服を着たオオウエエイジ、今日はちょっとカジュアル系なのかな。大きな目をひん剥いて、楽しい掛け合いを聴かせてくれた。
 そして、アンコールはそれだけじゃ終わらず、モンテーシさんのソロで、ガーシュインのEmbraceable You。楽しかった。

 

 休憩終わって、団員さんがステージに集結したら。

 ひさびさに見たよ。シンフォニーホールのステージ山盛りの人だかり。

 ハープ2台とチェンバロ。4人のワグナーチューバ持ち替えを含むホルン9人、ラッパとトロンボンの5,6人いるのかな。チューバも二人。上空のパイプオルガンや、後列のティンパニ2組みやよく分からないつり下がった鉄板(銅鑼とは別にね)や、ウインドマシン。そりゃあもう、大騒ぎさあ。

 

 もともと、アルプス交響曲を3種類も発売する程派手好きの朝比奈のじいさんに育てられた楽団だからね。あの親にしてこの子供。エンターティナー・オオウエエイジも加わって、楽しいなあ。

 

 トラもたくさんいるんだろうけれど、今日の大フィルさんの音は、ひと言で言えば、みっしり。隙間なく実が詰まった音。

 そして、立体感のある音。

 いろんなしかけが仕掛けてある曲だから、目にも耳にも楽しいんだけれど、そういうギミックだけじゃなくってね。

 一番印象的だったのが、弦楽器の雲海の向こうから出てくるラッパの日の出。両方相当なフォルテで演奏しているんだろうけれど、ラッパに支配されないで、弦楽器がきちんと雲海の役割を果たしていて。その向こうから昇ってくるラッパの朝日の優しさと煌びやかさ。演奏者冥利に尽きるだろうね。じいさんがこの曲好きだったのが分かるなあ。

 

 それから。

 途中で上手側の客席の扉が開け放たれて、バンダによるファンファーレ。音が鳴った瞬間、ホールの広さが何倍にもなって、立体感が増したよ。アバター見るのに、途中からメガネかけた、っていう感じなのかな(まだ見てないけれど)。かなり長いファンファーレなんだけれども、一糸乱れぬアンサンブル。かっこいいなあ。

 もし、この演奏を3回聴けるとしたら、一回はロビーで、このファンファーレを生で見たいな。

 

 シュトラウスの音の作り方として、一つのフレーズを同系統の、たとえばダブルリードの楽器でバトンタッチして、どんどん音域を下げていく、っていうのがあると思うのだけれども。ダブルリードのそれも面白かったけれど、今回やられちゃったのは、パイプオルガンからホルンへのバトンタッチ。その後ラッパにも行ったのだっけ。このバトン、結構音色敵にも釣り合うんだね。純正調のオルガンは、伸ばすと音が揺れてしまうのだけれど、ブレスの苦しくなったホルンとの相性もぴったり。

 

 書いていくときりがないのだけれどもね。

 さっきのバンダとは別に、舞台袖で演奏する人も多く、パーカッションや金管の人たちは立ったり座ったり忙しそうで。その度にいろんな音がいろんなところから聴こえてきて。そして、嵐。

 今か今かと待ち受けていた、パーカッションに陣取った白い筒がなる瞬間。来るぞ、来るぞ、来たー。ウインドマシン。

 

 大嵐のあと、静かな夜を迎えて、お祭り曲にはあるまじき沈黙を噛みしめたあと、大嵐の拍手。

 沈黙の余韻を、楽団員さんと噛みしめたオオウエエイジが、オケを立たせて、振り向いた瞬間。

 僕は、多分、鳥肌が立って、目頭が熱くなったと思うんだよ。

 何故って。

 一斉に立った楽団員さんの頭で埋めつくされたステージ。それがまるで、アルプスの山に見えたから。

 全員立たせたあとに、客席の扉からオオウエエイジが招き入れたのは、ファンファーレのバンダと、副指揮者の金丸克己さん。この若さと外人さんもいるところを見ると、兵庫芸術のオケの人たちなのかな。10人以上のバンドだったんだね。

 この人たちが袖に並んで、アルプスがますます雄大になった。

 

 この曲をひっさげて、あさって、東京に行くんだね。

 しかし、これだけの人数、トラもたくさんのみんなを東京まで連れて行って、大フィルさん大丈夫なのかなあ。財政的に。

 僕も、出来る限り応援するから、大阪のオケのみっしり感、東京の人たちに伝えてきてね。

 ホント、こんな曲を、なんの記念でもない演奏会でやるようなおばかな楽団なんて、そうはないよね。(読解力のない人もいるから不粋に断るけれど、おばかは最高級のほめ言葉なんだよ。少なくとも僕にとっては。)

 

 ありがとね、大フィルさん。

 ありがとね、オオウエエイジ。

 

 下野さんのブルックナー明けたら新年度だね。楽しみにしているよ。

 

 ただ、それだけのはなし。



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