Running Pictures ~伊藤計劃の、冷凍された感情〜2013年02月19日

 僕は、iPad2を買ったときに、一緒に裁断機とスキャナーを手に入れてね。昔読んで、今は段ボールにしまってあった本とか、昔買って、まだ読んでいないで積んであった本とかを1000冊以上、pdfにしたんだよね。iPadで読むために。

 そんなことがあったから、iPadがあれば、Kindleなんていらない、って思ってたんだよね。Kindleの大きさでは、pdf化した本を、文庫であっても読むのは難しそうだったからね。

 ところが、Kindleの日本のサービスが始まってね。幾つかの本をダウンロードしてiPadで読むうちに。ああ、楽だなあ、って思うようになって。これから買う本は、Kindleのサービスが第一優先になるんだろうなあ、って。

 そしたら、それのための、軽くて安い、読みやすい端末があるんだったら買ってみようか、ってことになって。Paper whiteの3G無しのやつを買ったんだよね。

 そしたら、それが良くってね。

 今では、国内出張ならiPadの代わりにKindleだけを持ち歩くようになったよ。

 

 Kindleがあれば、もうリアルの本なんて買わないかな、って思ったんだけれどもね。現在のKindleの品揃えではそういう訳にもいかなくって。相変わらず、出張のたびに本が増えていくような状態なのだけれども。

 

 そんなこんなで、今日買って、帰りの新幹線で読みきった本が楽しかったから、紹介するね。

 伊藤計劃の、Running Pictures。


 伊藤計劃っていうのは、まずその名前が読めなくって取っつきにくかったのだけれども。本屋さんの、早川の棚に行くと、無愛想な黒い表紙に明朝体の文字だけが載っているカバーが幾つかあってね。虐殺器官とか、屍者の帝国とか。そういう何か物騒な、やけに印象的な本が眼について。

 あとで紹介することになるかも知れないけれど、Kindleで読んだ虐殺器官っていう長編小説がおもしろくてね。ただ、数年前に若くして亡くなってしまったようなので、ゆっくり味わいながら読んでいこうと思っているのだけれども。

 

 そんな伊藤計劃の、この本、Running Picturesはね、彼の個人ホームページの映画紹介欄の文章を文庫化したもののようで。本人曰く、評論ではなくて、紹介。

 普段はそういう映画やCDの紹介本って、ほとんど手にも取らないのだけれど。伊藤計劃(この時点で読み方分からなかったのだけれども)の英語名がProject Itohって書いてあるのに気が付いて。ああ、けいかくって読むんだ、って。

 それで興味を引かれて、パラパラと目次を見たら。

 はい、即レジに行きました。

 

 だって。

 紹介している映画が。

 どんぴしゃ、僕の趣味なんだもん。

 

 1999年から、2000年にかけての40本以上の映画。後にSF作家になる伊藤さんの紹介する映画は、有名どころのエスエフ映画が多くって。

 エイリアン4から、アルマゲドン、ガメラ3、スター・ウォーズEp.1。マトリックスからアイアンジャイアント。

 エスエフ以外だと、L.A.コンフィデンシャル、プライベート・ライアン、ファイト・クラブやグラディエーター。

 大作以外にも、SFサムライフィクション、トゥルーマン・ショーや御法度とか。

 僕的には、半分は劇場に行ったりDVDで持ってたり。そして残りの三分の二はWOWOWやテレビで、それも何度も見た映画たちばっかりだったんだよね。

 

 それは、20世紀の終わりの2年間に、僕が(多分輸入DVDに目覚めて)、映画をたくさん観ていた、っていうのもあるし、このラインナップをあらためて見てみると、10年以上の年月を乗り越えられたのもられなかったのもあるけれど、楽しい映画がいっぱいあったんだな、って。

 時代がDVDからBDに移って、ソフトを買い直そうかなあ、っていう真っ先に思い浮かぶのは、このころの幾つかの映画なんだよね。懐かしいだけじゃなくって、いまだにたまに見る映画。

 

 本の内容は、伊藤さんが(ほとんど?)自費で観た映画を紹介する、っていうだけのものなのだけれども。作家の視点から見た映画評は、好き嫌いだけではなくって、やっぱり面白いなあ。

 僕の好きなサムライフィクションや、アイアンジャイアントを絶賛してくれていて嬉しくなったり、同じく好きなアルマゲドンはけちょんけちょんで、でも紹介してるってことは実は楽しんだんでしょ、って突っ込みたくもなったり。

 

 SW Epi.1とかマトリックスとか。これ以降シリーズ化されたものは、その後どういう評価になるんだろうとか、シックスセンスのN.シャマラン監督の族策の評価は?とか、気になるなあ。

 

 現代から見た批評ではなく、リアルタイムの紹介。それを、若いSF作家(を目指していたプー?)の視点から読むのはすごく楽しくって。

 でも、一番楽しいのは、その時のの感情を冷凍保存して、あとで読み返せる自分自身なんだよね。

 

 という訳で。

 

 さぼっていたブログ。復活してみようかな。

 あとで解凍して読み返す、楽しみのために、ね。

 

 ただ、それだけのはなし。



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