To be a Leviathan 〜イノベーターと学ぶ新しい仕事術〜 ― 2012年10月16日
巨神兵東京に現る 〜庵野館長の特撮博物館〜 ― 2012年10月21日
ちょっと前になるけどね。
庵野秀明館長の、特撮博物館に行って来たよ。
もちろん、お目当ては、短編映画「巨神兵東京に現る」だったのだけれども。
ちょっと行きにくいところにある東京都現代美術館、だったのだけれども、最寄りの地下鉄の駅から地上に上がったら、ものすごい懇切丁寧にMOTまでの道筋が案内されていて。それこそほぼすべての電信柱に、あと何メートルで右折とか左折とか。
地域の気合いの入れ方、すごいなあ。別に特撮博物館のためだけではないのだろうけれど、こういう力の入った企画をたくさんするんだろうね。
特撮博物館はね、その名の通り、特撮博物館。
ウルトラマンやゴジラやガメラ、ライオン丸とかの特撮ヒーローものや、その間に一世を風靡した(らしい)「海底軍艦」なんかの総天然色空想科学映画に使われた、ミニチュア模型やらマスクやら、プラモデルパッケージ絵の原画やらが所狭しと置かれていて。
僕の世代だと、物心ついたとき、ゴジラは既にミニラやカマギラスが活躍する(子供にとっても)お子さま向け映画になってしまっていたし、海底軍艦なんて遙か昔、日本沈没もタイトルくらいしか憶えていなくって。
だから、特撮ものっていうのはイコール、テレビで見るものだったんだよね。
あとは、さよならジュピターとかの、たまにあるエスエフ映画。あとは里見八犬伝とか、狙われた学園とか。これはなかなか、日本映画=しょぼい、っていうトラウマを作ったのはこのころのこういう映画のせいだね、きっと。
少し大きくなると、復活したゴジラや、少し後になって平成ガメラや。特に平成ガメラは映画館でぶっ飛んだ記憶があるな。ノスタルジーではなくって、そのシャープなスピード感にね。
っていう感じなので、大の大人が大喜びしている最初の方の展示(撮影用模型など)は、ああ、そういうモンもあったんだねえ、という感じでほぼ素通りしたのだけれど。
その模型に、背景がつくようになってきて。平成ガメラの磔から先、ミニチュアセットの展示は、面白かったなあ。
街のセット、民家のセット。いろんな大きさの電信柱。撮影用遠近法のために実際とは異なる縮尺の高速道路とか。大小様々なセットを、どうやって取っておいたんだろう、って見ているうちに。
でっかい、折れた東京タワー。廃墟と化した町。
巨神兵東京に現る、の待合スペースに置かれた、巨大セット。とはいえ、撮影用ではないと思うのだけれども。
無残に折れた東京タワー。折れてなかったら5mくらいあるのかな。倒壊したビル群。ビルの裂け目からは蜘蛛の巣のような糸が垂れていて。
これは、巨神兵の粘液か、と期待は膨らむよね。
映画は、カーテンで仕切られた奥のスペースで上映していて。爆発音と林原めぐみのセリフが聞こえてくる。
短編って云うのは、どのくらいの短さなんだろう。わくわく。
何しろ、タイトル以外、なんにも知らないからね。
前回上映が終わって、スタッフロールも全部消えるまで待ってよう、と思ったら出遅れて、立ち見になってしまったよ。まあ、椅子はほんのちょっとしかないのだけれど。
ということで、スタジオジブリの最新短編映画、「巨神兵東京に現る」。はじまりはじまり。
まあ、この映画はね。
別にストーリーがどうとか、演出がどうとか、そういうことではなしに。
怪獣が町を破壊し尽くす。それを、今流行りのCGを使わないで、トクサツだけで俺たちがやったらこんなことが出来るんだよ、っていうでもフィルムみたいなモンだからね。
だから、内容はどうでもいいのだけれど。
巨神兵。
僕のイメージでは、筋肉解けながらのたうつ、粘液デロデロ崩壊寸前な生き物、だったのだけれども。
スリムな身体に引き締まった筋肉をまとって、口からメカメカしたビームを吐くヒト型ロボット。ロンギヌスの槍のような棒を持ち、大空から団体で降りてくるところはそう、エヴァ量産機。
林原めぐみの感情のないナレーションと相まって、この秋の映画が待ち遠しくなっちゃったよ。
あ、巨神兵の映画だね。
先にも書いたけど、僕にとって特撮映画って、テレビで見るもの、なんだよね。平成ガメラとか、スター・ウォーズ・クラシックスは特撮映画なのだけれど。
それとはちょっと違って、この巨神兵は、テレビで見ていた、ウルトラマンの頃の特撮映画の匂いがぷんぷんしたんだよね。
ビルが崩れていくところとかすごいんだけれど、スライム吹き出して倒れるビルとか、ぬいぐるみの犬とか。
現実を再現するのではなく、デフォルメしてトクサツの決まり事のなかで、すごいことをやってやる、っていう楽屋落ちの雰囲気がすごくあってね。
つまり、いい大人が見に来てはいけないものだったのではないか、っていう疎外感。やっぱり子供をだますためのものなのか、っていう寂しさを、味わったよ。
そのあと、この映画のメーキングを、そのセットの展示と並べて流していたのだけれど。
崩れるビルをリアルに表現するための、300本のワイヤーで一つ一つの窓をつったセットとか。一瞬ですべてを崩すために、特殊ガラスで裏打ちしたセットとか。
すごい手間と智恵を集めてるんだね。
面白かった。
三谷幸喜の、ラジオの時間、みたいな映画に、このメーキングに詰まった技術をのこせないかな。
展示の最後は、何十人も入れる、おっきな東京のセット。
並んでる時間がなかったから、中には入らなかったけれど、外からでも十分、楽しかったよ。
もう東京では終わっちゃったけど、地方巡業を検討中なんだって。
見逃しちゃった人がいたら、メーキングも併せててお楽しみあれ。
ただ、それだけのはなし。