大阪市民管弦楽団 第75回定期演奏会 ― 2012年03月25日
僕の友達(会社の先輩なのだけれど)が、オケを移ってね。いつもは、プロ野球のマジックが一桁になるくらいの時期に尼崎に見に行っていたのだけれど、今回からは、おなじみのシンフォニーホール。
秋にもお誘いをいただいたのだけれど、ちょっと都合でいけなかったから、年2回の定期があるのかな、今回のオケは。
という訳で、大阪市民管弦楽団のコンサートに、行ってきました。
いただいたチケットは、座席当日指定の引換券で、僕がもらった座席は、2階のLD列。昔ウイントンを聴いたときの席に近いのかな。あの時は太鼓の音がホールの後ろで反響するのがうるさかったけれど、今回はどういう音がするんだろう。
しかし、すごいね。
シンフォニーホール、ほぼ満席だよ。ドヴォコンを引く金子さんという方は、サイトウキネンにも参加しているプロの方ということだけれど、それだけじゃないんだろうね。楽しみ。
プログラムは、ローエングリンと、ドヴォコン、そして前の週に大フィルさんで聴いたシューマンのライン。渋いね。
このごろ、クラシックの演奏会を聴いていて思うのだけれども。やっぱり知っている曲の方が楽しめるんだよね。知らない曲を身体で浴びる、っていうのも楽しいのだけれど、一緒に唄いながら、ここのキメはどうだ、あそこのバランスはどうだ、っていう方が、やっぱり楽しいな。
そういう意味では、今回のプログラムは、どれも「何回か聴いたことがある」っていう感じで、ちょっと不安もあったのだけれども。あ、これは聴き手としての僕の不安、ね。
でも、最初のワーグナーを聴いて、そんな不安は吹っ飛んで、そして、ちょっとばっかりびっくりしたんだよ。
なんて、上手いオケなんだろう、って。
ローエングリンで、僕が良く知っているのは、第1幕ではなくて、第2幕の前奏曲の法だと思うのだけれども。第1幕は、第2幕とはうって変わって、すごく静かな、消え入りそうな弦の透明感が要求される曲なんだよね。
その、冒頭の。
弦のロングトーン。その透明感。
こういう所は、本当にみんなのピッチがしっかりしていないといけないところだから、聴く方もかなり緊張するのだけれど。でも、そんな危うさなんて全く感じなくって。だから、本当に安心して、音楽を楽しめたよ。
これぞワーグナー、っていう管楽器の咆哮も、上品に、上から下までバランスよく鳴っていて。
この曲を必死でさらいました、っていう前に、みんなのスキルが高いんだろうね。
あるいは、シンフォニーホールの魔術なのかな。シンフォニーホールに定期の会場を移した大フィルさんが、たまに昔のフェスで演奏したときの、あのすかすか感を聴いてしまうと、シンフォニーホールの魔術って、確かにあるんだよね。
どちらにしても、楽しいワーグナーを聴けたことに間違いないのだけれど。
そして、ドヴォコン。
ドヴォルザークの曲って、好きなんだよね。ブルックナーとか、ベートーヴェンを聴いて、「交響曲は世界の創造だ」とか粋がっている時に、ドヴォルザークを聴くと、「なにかっこつけてんの。音楽はメロディーでしょ」って優しく諭してくれる。
そこに安住するつもりはないけれど、たまに帰ってきて安心できる隠れ家。それがドヴォルザークなんだよね。
このチェロ協奏曲も、チェロがどう、っていうことよりも、安心できるメロディがいっぱいで。シンフォニーホールの2階席まで確実に届いてくる金子さんのチェロ。いいなあ。
そして、一週間前にも聴いたシューマン。
ラインって、いろいろな演奏のCDを持っているのだけれど、あんまり聴いた記憶がないんだよね。先週も聴いたはずなのだけれども、取っつきやすい交響曲、っていうイメージの他は、あんまり印象がないんだなあ。
でも、この演奏。
楽章ごとに一つのまとまり、と考えるとね、「ラインの地方色」を反映したこの曲、いろんな所につれてってくれる観光案内のように聴けるんだね。
いつも真正面から大フィルさんの演奏を聴いているこのホールで、2階の特等席で。良い演奏を聴かせてくれてありがとうね。
アンコール。
僕には一番なじみの深いローエングリン。第2幕。管楽器のバランストパワー、堪能したよ。
次回はブルックナーなんだね。
7番。
楽しみにしてるね。また、よろしくお願いします。
ただ、それだけのはなし。