ヴィタール 浅野 vs. 塚本晋也 ― 2006年01月07日
浅野くんて、あんまり喋らない役が多いんだけれども、これはその中でも5本の指にはいるね。5本って歯切れ悪いのは、後半ちょっと喋るようになるから、なんだよね。
ドライブ中に彼女を交通事故で死なせてしまった、記憶喪失の青年。医学部に入って、解剖実習に出てきた献体は、彼女の遺体。彼女の遺体の解剖に没頭するうちに、喪われた記憶がフラッシュバックして、現実のボーダーがあやふやになっていく。
現実と夢想のボーダー、ではなくってね。現実ともう一つの現実のボーダー。
そんなのあるか、って人にはとってもありふれた、現実逃避のストーリー。
それをね、塚本晋也の、ほっとくと止まっちゃうような時間が流れる演出と、全く動じることのない(動じるほど外部との関係性を保てない)浅野忠信の演技。その二つで切り取って、ボーダー故の狂気を説得力持って見せる。
こういうのやらせたら、いないよね、他にできる人。浅野くんもそうだけれど、塚本監督も。
取り憑かれたように解剖に執着する浅野くんの狂気。そう、この人には狂気がよく似合う。
そういう取り憑かれた狂気を演じる浅野くん、っていう意味ではベストの映画だね、今のところ。
ドライブ中に彼女を交通事故で死なせてしまった、記憶喪失の青年。医学部に入って、解剖実習に出てきた献体は、彼女の遺体。彼女の遺体の解剖に没頭するうちに、喪われた記憶がフラッシュバックして、現実のボーダーがあやふやになっていく。
現実と夢想のボーダー、ではなくってね。現実ともう一つの現実のボーダー。
そんなのあるか、って人にはとってもありふれた、現実逃避のストーリー。
それをね、塚本晋也の、ほっとくと止まっちゃうような時間が流れる演出と、全く動じることのない(動じるほど外部との関係性を保てない)浅野忠信の演技。その二つで切り取って、ボーダー故の狂気を説得力持って見せる。
こういうのやらせたら、いないよね、他にできる人。浅野くんもそうだけれど、塚本監督も。
取り憑かれたように解剖に執着する浅野くんの狂気。そう、この人には狂気がよく似合う。
そういう取り憑かれた狂気を演じる浅野くん、っていう意味ではベストの映画だね、今のところ。
夢と現実の、差 ― 2006年01月26日
経営の本、っていうよりも、ただのムック本なんだけれど。
しかもお世辞にも上質、っていうわけではない編集なんだけれど。
今流行りのバイオベンチャー。最初にアメリカにおけるバイオベンチャーの興隆を俯瞰して、それからどんな人材が必要になってるか箇条書きして。あとは実際のベンチャー経営者と、ベンチャーに近しい研究者の手記。それに意味不明なアンケート結果をくっつけた、まあ何ともまとまりのない本なのだけれども。
なんだけれども。
ひとつだけ、ホントに一カ所だけ、ああいいな、って思ったところがあって。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ベンチャー経営者の生きる力は夢。では、夢と現実の差は?
*世界で一日に動く資金は1兆ドル つまり365兆ドル/年 = 夢と現実を含んだ額
*世界の総生産高は5兆ドル/年 = 現実
*夢と現実を含んだ額/現実 = 365兆ドル/5兆ドル = 73
だから、夢と現実の差は70倍。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
なんかさ。目頭が熱くなるよね、えっ、ならないって?
こんな、理屈にもなっていないこじつけ、小学生だって納得しないよ。こんなこじつけの理屈を、恥ずかしがりもせず、胸を張って、大声で叫んでしまえる潔さ。無垢さ。
ああ、これが夢を食べて生きているベンチャーの起業家なんだ。生臭いビジネスにどっぷりと浸りながら、それでもなお無垢で、夢を食べて生きていられるヒトの、潔さなんだ。
夢と現実の差が何倍か、なんて考えたことある?
大きな現実は、大きな大きな、70倍大きな夢に宿るんだよ、って考えると、なんか楽しくなるよね。
こういうこと考えてるヒトが大まじめにやってるんだ、って思うと、バイオベンチャーもなかなか捨てたもんじゃないな、って思うよね。
ちなみに、やっぱりこの本自体は勧めないんだけれどもね。
ただ、それだけのはなし。
しかもお世辞にも上質、っていうわけではない編集なんだけれど。
今流行りのバイオベンチャー。最初にアメリカにおけるバイオベンチャーの興隆を俯瞰して、それからどんな人材が必要になってるか箇条書きして。あとは実際のベンチャー経営者と、ベンチャーに近しい研究者の手記。それに意味不明なアンケート結果をくっつけた、まあ何ともまとまりのない本なのだけれども。
なんだけれども。
ひとつだけ、ホントに一カ所だけ、ああいいな、って思ったところがあって。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ベンチャー経営者の生きる力は夢。では、夢と現実の差は?
*世界で一日に動く資金は1兆ドル つまり365兆ドル/年 = 夢と現実を含んだ額
*世界の総生産高は5兆ドル/年 = 現実
*夢と現実を含んだ額/現実 = 365兆ドル/5兆ドル = 73
だから、夢と現実の差は70倍。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
なんかさ。目頭が熱くなるよね、えっ、ならないって?
こんな、理屈にもなっていないこじつけ、小学生だって納得しないよ。こんなこじつけの理屈を、恥ずかしがりもせず、胸を張って、大声で叫んでしまえる潔さ。無垢さ。
ああ、これが夢を食べて生きているベンチャーの起業家なんだ。生臭いビジネスにどっぷりと浸りながら、それでもなお無垢で、夢を食べて生きていられるヒトの、潔さなんだ。
夢と現実の差が何倍か、なんて考えたことある?
大きな現実は、大きな大きな、70倍大きな夢に宿るんだよ、って考えると、なんか楽しくなるよね。
こういうこと考えてるヒトが大まじめにやってるんだ、って思うと、バイオベンチャーもなかなか捨てたもんじゃないな、って思うよね。
ちなみに、やっぱりこの本自体は勧めないんだけれどもね。
ただ、それだけのはなし。
大丈夫か? Number ― 2006年01月28日
前にも書いたけど、僕はNumberというスポーツ誌をたまに読んでいて。しかも結構好きで読んでいた。
だけどね、こういう記事が堂々と出るようじゃあ、これから先、この雑誌とのつきあいを考えなくちゃいけないな。
1/19号の、浅田真央の記事、書いたのは宇都宮直子。
もちろん内容は、GPファイナルに優勝した浅田真央が、オリンピックにいないのはオカシイ、っていうことで。
浅田がGPで勝ったのは、「決して代表争いのプレッシャーがなかったからではない」のだけれども、その根拠は「ジュニアからシニアに移行した初めての年、プレッシャーがないはずがない」から。
、、、それって、字面だけ同じで、全然違うプレッシャーじゃないの??
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そして、この記事の締めくくりは。
むろん、ルールはルールとして尊重されるべきだが、浅田真央のいないオリンピックが、果たして、真の勝者を決める場と言えるのかどうかだ。
人々は知っている。誰がオリンピックに相応しい選手であるかを、十分にわかっている。後略。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あのさぁ、スポーツっていうのは、ルールの上に成り立ってるよね。冬のオリンピックでいえば、フィギアスケートの採点方法が去年から変わって、安藤美姫が不利になったっていわれてるし、長野でジャンプに勝ってからスキー板のルールが変わって、日本が勝てなくなった。
でも、そういうことを、みんな受けて入れるのが、スポーツなんじゃないの?
オリンピックサッカーに、A代表が出られないから、あんなのは真の勝者を決める場じゃない、って誰かいう? (みんないってるかも知れないけれど)
GP勝者がオリンピック代表になる、っていう了解があったのならともかく、前々からいわれていたルールを、そのままに適用したことを非難するなんて、スポーツ雑誌として最低の、恥ずべきことだって言う認識、あるのかな? ウツノミヤナオコさんに、それを採用した編集部に。
だいたい、浅田真央の人生設計に、トリノオリンピックとか、トリノのために戦うGPとかって、なかったんでしょ? だったらいいじゃん、このまま伸びて、いい状態で次のオリンピックに行ってね、ってみんなで祈るだけで。
ただ、それだけのはなし。
だけどね、こういう記事が堂々と出るようじゃあ、これから先、この雑誌とのつきあいを考えなくちゃいけないな。
1/19号の、浅田真央の記事、書いたのは宇都宮直子。
もちろん内容は、GPファイナルに優勝した浅田真央が、オリンピックにいないのはオカシイ、っていうことで。
浅田がGPで勝ったのは、「決して代表争いのプレッシャーがなかったからではない」のだけれども、その根拠は「ジュニアからシニアに移行した初めての年、プレッシャーがないはずがない」から。
、、、それって、字面だけ同じで、全然違うプレッシャーじゃないの??
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そして、この記事の締めくくりは。
むろん、ルールはルールとして尊重されるべきだが、浅田真央のいないオリンピックが、果たして、真の勝者を決める場と言えるのかどうかだ。
人々は知っている。誰がオリンピックに相応しい選手であるかを、十分にわかっている。後略。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あのさぁ、スポーツっていうのは、ルールの上に成り立ってるよね。冬のオリンピックでいえば、フィギアスケートの採点方法が去年から変わって、安藤美姫が不利になったっていわれてるし、長野でジャンプに勝ってからスキー板のルールが変わって、日本が勝てなくなった。
でも、そういうことを、みんな受けて入れるのが、スポーツなんじゃないの?
オリンピックサッカーに、A代表が出られないから、あんなのは真の勝者を決める場じゃない、って誰かいう? (みんないってるかも知れないけれど)
GP勝者がオリンピック代表になる、っていう了解があったのならともかく、前々からいわれていたルールを、そのままに適用したことを非難するなんて、スポーツ雑誌として最低の、恥ずべきことだって言う認識、あるのかな? ウツノミヤナオコさんに、それを採用した編集部に。
だいたい、浅田真央の人生設計に、トリノオリンピックとか、トリノのために戦うGPとかって、なかったんでしょ? だったらいいじゃん、このまま伸びて、いい状態で次のオリンピックに行ってね、ってみんなで祈るだけで。
ただ、それだけのはなし。