ただ、それだけのはなし

　別に僕が天の邪鬼だから、っていう訳じゃないと思うのだけど。ワールドカップのアジア予選なんかよりずっと面白かったね、コンフェデ杯。
　別に後から言うつもりもないんだけど、1次予選のオマーン第2戦に勝った時点でもう、ほぼ決まってたもんね、W杯予選は。
　
　日本は公平に見て、アジアのレベルからはもう、韓国と一緒に突出してるでしょ。僕の唯一の心配は、アジアのレベルで「国内組」だけで勝てたからって言って、ナカタ不要論が横行することだったんだけどね。
　はっきり言って、国内組の心根には失望してます（新聞報道の情報の範囲内でね）。ジーコの4バック構想を、トゥルシエ時代にたたき込まれた3バックの方が「やりやすい」からって拒否したり、アジアでちょっと勝ったからって、「国内組の意地」とか言って粋がってみたり。
　有り余る欧州からのオファーを断って、国内に居続けるんだったらそれでもいいけどね。ドメスティックに満足しきってるくらいの才能が何を言うか、っていう感じ。
　
　だから、ホントはみんなが完璧な体調の中、やっぱり突然やってきたナカタが格の違いを見せつける、っていうストーリーを望んでいたんだけどね。運がいいのか悪いのか、必ず誰かがけがをしてナカタのための場所が空いちゃった。
　
　僕は、ナカタが好き。
　いつも上半身起こして走るナカタが、パスをもらう直前に辺りを見回すナカタが、タックルを受けて転がらないナカタが、最短距離に直線のパスを渡すナカタが好き
　ナカタの凄さって、モチベーションが涸れない、っていうことに尽きるよね、きっと。イタリアで、ずっと試合に出ている訳じゃない。でもコンディションを落とさない。なぜなら、試合に出ている時と同じテンションでトレーニングが出来るから。
　なぜなら、彼は「プロフェッショナル」だから。
　そんなナカタが、ヨーロッパに渡った日本人で唯一、クラブを渡り歩いているナカタが要求するレベル。そのレベルを、アジアで勝つことで満足して真剣に受け止めない日本代表だったら、来年、3敗して恥をかくことが目に見えてるからね。
　その意味で、コンフェデ杯でいいお灸をもらったよね。
　
　くれぐれも間違えないでね。ブラジルが同点で終わったのは、ブラジルにとって同点でよかったから、だってこと。あと5分あれば逆転できた、とかいってるけど、さらに5分あれば、確実に追いつかれてたっていう現実をね。

　ただ、それだけのはなし。