ビルボードライブの、大竹しのぶ2025年02月01日

 このところちょっとご無沙汰だったけど、久しぶりに、Billboard Live Osakaに行って来たよ。

 大竹しのぶ。



 もちろん、大竹しのぶは俳優であって、歌手ではないよね。僕は、一度だけ、大竹しのぶの歌を聴いたことがあってね。

 中島みゆきのトリビュートコンサート。中島みゆきの歌を、いろいろな人が唄う、っていう催しで。かっこ付きで「このコンサートに中島みゆきは出演しません」っていうおことわりがついた音楽界であったのだけれども。

 その頃、コマーシャルで「ファイト」を歌っていた満島ひかりとか、平原綾香、中村中さんとかが次々に歌っていく中で。

 大竹しのぶの、「化粧」。

 元々中島みゆきの歌って、お芝居のようなストーリー性があって、お芝居をせざるを得ないおんなの哀しみを唄った歌が多いから、俳優さん(この言い方、いまだに違和感があるから、女優さん、っていった方がしっくりくるけれど)が歌うのがしっくりくる、と思うのだけれど。

 それにしても、大竹しのぶの「化粧」。

 ふられた女が、最後に一度だけ、男に逢いに行く。その男に、もう一度振り向いてもらいたくて、別れを後悔させたくて、普段しない様な化粧をして出かけていく。もちろん、そんなこと無理だと、化粧なんて無駄だと分かっているけれど。でも、このきれいな顔を男に見せるために、今だけ流れるな、泪。

 若いアイドルでの女優では、歯が立たないこの芝居を、見事に唄いきった大竹しのぶ。すごいなあ。

 もう、何年も前のことだけれどもね。


 そんなことがあったから、大竹しのぶの歌を生で聴きたくってね。ビルボードの発売日にがんばって席を確保したんだよ。

 ところが。

 当日、勇んでビルボードに行って、名前を言っても全然通じない。何度も通っている店だから、電話番号で照会してもらったら、「お席を探された形跡はありますけど、最後までプロセスが進んでません」って。あらら、そんなことまで分かるんだ。きっと最後のエンターキーを押さずに安心しちゃったのね。良くある不注意。。致命的な、不注意。。。

 運良く、キャンセル席があったらしく、元々取ろうとしていた席のすぐ近くに入る事が出来たんだ。


 会場は、アラ還からもう少し上の男性が多くって、女性はそれよりもう少し若い層なのかな。ビルボードはほぼ満席。

 時間になって、出てきたバンド、そして大竹しのぶ。若い、顔小さい。

 曲は知らない曲で、「東京ブギウギ」のう様なブギ、あるいはシャッフル。ステージを端から端まで動き回る大竹しのぶ。

 そこからは、山口百恵を2曲。絶体絶命と、イミテーション・ゴールド。そして、みゆきを2曲。化粧と、この空を飛べたら。歌詞を見ないでも歌える曲がこんなに続くライブって、アルフィー以来かな、30年以上前の。


 MCでもいっていたけれど、大竹しのぶって女優だから、自分の持ち歌ってないんだよね。(若い頃に歌出したこともあるらしい、みかんだっけ?)だから、お客さんは何をしにくるんですか? ってラジオの放送作家に言われたらしい。確かにね。僕は大竹しのぶの歌を聴きにきた、と思っているけれど、じゃあなんの歌を唄ってくれたら嬉しい、とかそういうイメージがあったかというと、ないんだよね。漠然とした、歌。そして、実物を近くで見ることが出来る。それ大事。特にビルボードのような小さい箱ではね。


 歌はそれから、シャンソンとか洋楽になって。通常60分のビルボードなのに、ある歌終わりにそそくさと一人だけ退場して、あれ、アンコールにはまだちょっと早いんじゃない、って思ったら、なんと衣装替えをして出てきて。


 後半のMCでは、2度の結婚生活などもネタにしながら、近年世界で起こっている戦争の悲惨さ、に触れながら。

 浅川マキのようなムードの洋楽(たぶん)を何曲か歌ったあと、歌ってくれたのが「愛にできることはまだあるかい」。RADWIMPSの、天気の子の主題歌。

 僕は、天気の子を録画して、3回に分けてようやく見終わるくらいしかこの曲にはなじみがないのだけれど。

 大竹しのぶの、一言一言が聴きながら書きとれるように迫ってくる唄で、曲と歌詞を噛みしめながら聴くとね。なんか涙が出てきた。一人で来たおっさんがハンカチ取りだして目を押さえている図なんて、みっともないなと思いながら、でもしょうがない。愛にできることは、まだあるんだから。身構えていた化粧より、そのあと不意に飛んできたこの空を飛べたらより、愛にできることが飛んできた。


 最後は、もちろん、愛の賛歌。


 そして、アンコール。

 千のバイオリン。

 ヒマラヤほどの 消しゴムひとつ


 これは反則だよね。

 爆発的な衝動、以外に武器を持たない若者の音楽じゃない、パンクって。(当時の)若者にとってのブルースじゃない、ブルーハーツって。

 こんな成熟した大人が。

 大真面目に。

 コンサートの最後に。


 なんてかっこいいんだ。

 歌もそうだけど、ひととなりが、かっこいい。


 持ち歌のない歌手のステージ。

 また来たいな。


 ただ、それだけのはなし。

 



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