13坪の本屋の奇跡 大阪の本屋さんのものがたり2024年12月05日

 もう、ずいぶん前になるけれど、近所の本屋さんが無くなっちゃったんだよね。一階が駐車場になっている高床式の建物のチェーン店だったけど、駅からの帰り道の夕涼みを含めて、いろんな本を手に取ったな。

 だけど、本屋さんの店員さんとお話をする機会って、そうないよね。新聞の広告に載っていたあの本どこにありますか? とか、今日発売日だと思ったけど売れちゃったかな?とか。そういう話はしても、この本読んだらどうですか、みたいなおすすめされることって、まあないよね。


 だから、なのか分からないけれど、フェイスブックで書店の人が本をおすすめしてくれる、っていうサービス(?)をしてくれているのに、飛びついたんだよね。

 それが、この本の主役となっている隆祥館っていう谷六の本屋さんがやっているサービスで。


 自分がどんな人で、どんな本を読んできて、っていう問診票(?)を送って、返ってきたおすすめリストの中に入っていた一冊がこれ、だったんだよね。自分の宣伝がちゃっかり入ってる、と思ったのだけれど、著者は別の人で、面白そうなタイトルだったから、そのままリストに入れてもらって。

 というより、勧められた本は断らない、って決めてたんだけどね。だって、おすすめしてもらう、ってそういうことだもんね。


 とはいえ、

 今もそうだけれど、買う本と読む本がなかなか釣り合わず、積ん読状態の本棚のスリム化が喫緊の課題だった数年前に届いた本で。他で買ったものや図書館で借りたものも含めてちょっとずつ読んでいる状態で、ようやく読んだよ。


 木村元彦著 13坪の本屋の奇跡 ころから(出版社の名前ね)


 読みはじめてからはほぼ一気に読んでしまったのだけれど。面白いからね。


 本屋さんって、大変。

 ロングテールで回転率の悪い昔の本を含め、開業時に膨大な在庫を抱え込んで。定価でしか売れない再販制度と、売れない本は返本できる委託販売制度は、零細本屋さんをイカサズコロサズに存続するための救済措置、なのだと思っていたのだけれど。

 この本を読むとその救済措置のおかげで卸との間に上下関係があって、それがイロイロな問題を生じていて。志のある本屋さんを、画一的な品揃えののっぺりした本屋に留め置こうとする力にもなっていて。


 その中で自分の店を守る、ひいては街の本屋さん、という文化を守ろうと奮闘するパワフルな一家のものがたり。なのかな。


 それを意気に感じた、「オシムの言葉」の著者の木村さんが取材しているのだけれど、引退した大手卸の会長さんに取材したり、本にする、という事も含めて、やっていることは側方援護射撃だよね。

 だから、もちろん、というか。

 読んでいる僕の方も大阪の街の本屋さん、応援したくなるよね。


 常連さんの顔と本の好みを憶えていて、隆祥館さんのおすすめなら読んでみるわ、で何百冊も売り上げる信頼関係を築いている本屋さん。近くにあったら嬉しいだろうなあ。

 ギリギリ自転車で行けそうな距離だから、今度ちょっと覗いてみようっと。選んでくれた本のお礼も言わないといけないし、ね。


 ただ、それだけのはなし。