Top Gun Marveric2022年06月05日

 喜んでいるのは、オッサンだけなのかもしれないけれど。

 でも、そりゃあ喜ぶよね。


 30年以上振りの、Top Gunの続編。


 前作が、1986年だっけ? ちょうど高校生のとき。部活と受験に忙しかったその時に映画館に観に行ったかどうかは、実はあんまり定かではないのだけれど。


 それでも、TVやDVDで、結局何回も観て。


 軍用ジャケットでバイクに2ケツするTomのカッコ良さや、

 酒場で歌いながら愛の告白をする陽気なアメリカンのカッコ良さや、

 ビーチバレーのウエストが絞り切れていないTomの、これまたカッコ良さや。

 そんなこんなが先行して。


 ドッグファイトの迫力とか、同僚を目の前で死なせてしまう慟哭とか悩みとか。

 そういうものが入ってきたのって、結構最近になってから、だったんだよね。


 もちろん、そこからスター街道を駆け上るTomを一映画好きとしては斜めに見ながら、Top Gunは、カクテルやハスラー2のトムクルーズの、アイドル映画の一本から、いや、やっぱりかっこいい代表作の一つに格上げされつつあったんだよね。


 何年か前、続編を創る、って聞いたときには、冗談かと思ったのだけれども、ね。


 という訳で、観に行ってきました。

 トップガン マーヴェリック。


 見事に。

 号泣。

 ほぼ、最初から最後まで。


 36年ってさ、続編、って言うには長すぎる時間が経っていて。

 ゴッドファーザー1から2とか、スターウォーズ新たな希望から帝国の逆襲とか、そういう時間軸とは全く違って。

 ハスラーからハスラー2ともまた違う。


 007の最初から最新作とか、日本で言えば寅さんの最初と最終作とか。そう言うのに近い時間が流れているけれど。でも例に出した二つは1話完結、前の出来事がなかったことにされる永劫回帰の物語で。

 強いて言えば、ランボーの最初と最終作、みたいな関係かな。ランボーの2作目以降が全くなく、唐突に最終作が。40年近く経ってから発表される。

 そういう時間が経ってるんだよね。Top Gunから今回のマーヴェリックまで。


 若くて、生意気で、怖いものなしのひよっこパイロットの物語から、いきなり、定年(なんてものがあるのなら)間近のベテランの物語にならざるを得なくって。

 そしてもちろん、Tomはかっこよくなくてはいけないし、前評判として、CGを拒絶した本物のドッグファイトでなければいけないし。


 そんな制約を世界中からかけられながら、Top Gunの新作は、なんと、ホントに完成したんだね。


 まだまだ絶賛上映中だから、これから観に行くヒトは、これからは読まない方がいいけれど。


 もう、号泣。

 最初のDanger Zoneから泣いているのはオッサンの郷愁なのだけれども。


 CGなしのリアルな映像、という縛りを頭に入れてれてみれば。

 空母に着艦するときのワイヤーの暴れ方とか、

 編隊飛行に下から割って入るF-18とか。模擬戦闘シーンとか。

 2:15のときの背面飛行とか。

 そして、Tomが乗るTom Cat(F-14)とか。


 戦場で何が起こっているかを伝えるためなら、CGで俯瞰で組み立てた方がいいのだろうけれど。

 そうでなく、かかるGに歪む頬とか、キャノピーの外で反転する背景とか、翼から出る飛行機雲とか。



 このごろ、エリア88をまた読んだんだよね。ミグやファントムが混在する、戦闘機乗りの傭兵の物語。

 そのマンガで、戦闘機乗りの気質とか、渓谷を飛ぶことの難しさとか、いろんな事を(まるでこの映画を観る予習のように)知ったのだけれども。

 エリア88に唯一文句をつけるとすれば、超音速の感覚が伝わってこないんだよね。ドッグファイトなんて一瞬のすれ違いの筈なのに、相手を視認したり後ろを振り返ったり。そう言うのってマッハの速度域の中でどうなんだろう、って。


 そういうところを含めて、眼がサラになったよ。

 繰り広げられるのは、スカイ・クロラのプロペラ機の悠長な決闘ではなく、マッハの戦闘機と容赦ないミサイルの、Gの我慢大会。

 手に汗握り、叫び声を上げながら、マスクが涙と鼻水に濡れていく。

 いいなあ。


 ドラマの面では。

 相変わらずのヤンちゃなTomの軍人人生最後のミッション。舞い戻った古巣。

 新しい世代と過去のしがらみと。

 変わる世の中と受け継がれていく精神と。


 昔、陽気なアメリカンを教えてくれた映画が、オッサンから観た陽気なアメリカを、また、教えてくれて。


 結局、老いも若きも、男も女も、夢中になるのは、かっこいいアウトローが仲間のためにその汗を絞り尽くす、そういう物語なんだよね。


 ドラマだけじゃなく、その映像だけとっても、その本気が伝わってきたよ。

 トム・クルーズ、恐るべし。


 ただ、それだけのはなし。



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