尼オケの、白鳥の湖 ― 2009年09月23日
すっかり秋だね。
秋といえば、いつものあれ、行ってきたよ。
尼崎市民交響楽団の、演奏会。
今回は、白鳥の湖と、シューマンのライン。どっちも生で聴くのはじめてだな。どんな演奏してくれるんだろう。楽しみ楽しみ。
生で聴くのはじめて、とか見栄張ったけどね、実は白鳥の湖って、ほとんど聴いたことないんだよね。400枚以上ある僕のクラッシックのCDの中に、一枚もない。まあ、もちろん有名な曲だからね、最初のテーマくらいは知っているのだけれども。
実際の演奏はね。
思ったよりも強めのトレモロから、あの有名なテーマが奏でられて。思ったよりも強めっていうのは、バレエ音楽だから、そおっと始まるんだろうなあ、っていう勝手な思い込みでね。考えてみたらバレエ音楽って、ちっともそおっとしてないんだよね。前の日に喜んで聴いていたのはカラヤンのハルサイだし、プロコのロミジュリとか、ラヴェルのダフクロとか、知らない人多いかも知れないけれどピエルネのシダリースと牧羊神なんか、フルートとファゴットで12人もいるようなバレエ音楽だし。
あのチャイコフスキーが、そおっとしたバレエ音楽を作る訳ないよね。
あ、演奏だね。
バレエ音楽だからかどうか知らないけれど、いろんな色彩が一遍に楽しめる曲だね。一曲一曲が短かいのが難点だけれども。
いろんな色彩の曲は、いろんなソロにあふれていて。
ワルツの曲での木管楽器のソロ廻しも印象的だったのだけれども、やっぱりこの曲のソロは、その何曲かあとの曲。
ハープのカデンツァから、コンマスのソロ。そしてチェロのソロ。これが最高。僕はその昔トロンボンを吹いていたからね、管楽器吹きのチェックポイントはよく分かるんだけれど、弦楽器のそれは全然分からないから、ただひたすら感心してしまうのだけれども。
っていうのは、たとえばソロを人前で聴かせる(ソロに限らないけれど)時に、音楽性とかそういう抽象的で高尚な事は置いておいて、音色、音程、音量、リズム、そして指が廻っていることっていう、いろんなチェックポイントがあるよね。こいつらの比重って、楽器ごとに違うと思うんだ。たとえばピアノなら、音色、音程とかはまあ所与の物として、指が廻るかどうかが一番のチェックポイントで、ラッパだったら音色なのかな。木管楽器はそいつらにリズムが加わって。
そう考えると、弦楽器のソロって、こいつら全部に、等分の気を遣う必要があるんだよね。だからプレッシャーは並大抵じゃないと思うんだけれども。でもコンマスもチェロの人も、すごくよかったよ。きっとおいしいお酒が飲めただろうね。あと、ハープの人も。プロのコンサートでも、ハープがああいう風に裸になることって、あんまりなくってね。ポロンポロンした分離のいいハープの音、堪能しました。
曲はね、さっきもいっていたけれど、短い曲が多くって。いつ終わるんだろう、拍手するタイミング分かるのかしら、って心配してしまうほどだったのだけれども。
でも、もちろん。
全然そんな心配は必要なくって。さすがのチャイコフスキーの大盛り上がり。楽しかった。
そうそう、最初にホール入って、プログラムを開けたときにね。ちっちゃい紙がパラって落ちてきたんだよ。
正誤表。(誤)シューベルトのライン→(正)シューマンのライン。
あらら、やっちゃったね。やっちゃうんだよね、これ。
僕も未だにどっちがどっちか迷うものね。ラインはシューマンだよね。
とはいえ、その二人の違いを語れるほど、特にシューマンについては詳しくないんだけどね。どっちも交響曲作家っていうよりは、歌曲の作曲家っていうイメージがあるけれど、ではシューマンがどんな歌曲を作ったかっていわれても、よく分からないんだ。
交響曲は、シューベルトのグレイトとか未完成とかは、野バラとか鱒のイメージとは程遠い、重厚でゆったりした交響曲、っていうイメージがあって。ラインもひと言で言うとそういう感じなんだよね。だから、余計混乱するのだけれども。
そのライン。
この演奏会の案内が来てから、朝比奈/新日フィルのラインをあらためて聴き直したのだけれど。
これ、難しい曲だね。演奏するの。
だって、じいさんのこの演奏、崩壊寸前。
この曲、ブルックナーの3番に似てるんだよね。曲想とかじゃなくって、音の作り方が。つまり、まとまった音の塊がそこかしこにあって、それが全部意図したところに収まっていないときちんと聞こえてこないっていう。
テレビ局のスタジオに、書き割りの草むらやら電柱やらがあって、カメラの角度からはきちんとした風景を構成しているんだけれども、ちょっと見る位置をずらすとベニヤ板の草むらを支えるスタンドが見えちゃったりする感覚なんだよね。
そして、音が分厚い。
ホントにブルックナーなんじゃないかって思うほど、金管のコラールみたいな響きがいっぱいあって。
僕は大好きなんだけど、でも難しいよなあ。
そうやって、心配半分で聴いてたんだけどね。
その意味では、物足りないなあ。
だって、終始安定していて、音型的にはらはらすることなんて全然なかったんだもの。いや、その分いい演奏だったってことなのだけれども。
しかし、ホルンの人はご苦労様でした。エラいハイノートばっかりだったね。
今年も秋の一日、楽しませてくれてありがとう。
来年は第九ですか。秋の第九、楽しみにしてますね。
ただ、それだけのはなし。
===========
2009年9月21日
尼崎市民交響楽団
第24回定期演奏会
@アルカイックホール
チャイコフスキー:バレエ音楽 白鳥の湖 より
シューマン:交響曲 第3番 ライン
en. ワーグナー:ニュルンベルグのマイスタージンガー 序曲
秋といえば、いつものあれ、行ってきたよ。
尼崎市民交響楽団の、演奏会。
今回は、白鳥の湖と、シューマンのライン。どっちも生で聴くのはじめてだな。どんな演奏してくれるんだろう。楽しみ楽しみ。
生で聴くのはじめて、とか見栄張ったけどね、実は白鳥の湖って、ほとんど聴いたことないんだよね。400枚以上ある僕のクラッシックのCDの中に、一枚もない。まあ、もちろん有名な曲だからね、最初のテーマくらいは知っているのだけれども。
実際の演奏はね。
思ったよりも強めのトレモロから、あの有名なテーマが奏でられて。思ったよりも強めっていうのは、バレエ音楽だから、そおっと始まるんだろうなあ、っていう勝手な思い込みでね。考えてみたらバレエ音楽って、ちっともそおっとしてないんだよね。前の日に喜んで聴いていたのはカラヤンのハルサイだし、プロコのロミジュリとか、ラヴェルのダフクロとか、知らない人多いかも知れないけれどピエルネのシダリースと牧羊神なんか、フルートとファゴットで12人もいるようなバレエ音楽だし。
あのチャイコフスキーが、そおっとしたバレエ音楽を作る訳ないよね。
あ、演奏だね。
バレエ音楽だからかどうか知らないけれど、いろんな色彩が一遍に楽しめる曲だね。一曲一曲が短かいのが難点だけれども。
いろんな色彩の曲は、いろんなソロにあふれていて。
ワルツの曲での木管楽器のソロ廻しも印象的だったのだけれども、やっぱりこの曲のソロは、その何曲かあとの曲。
ハープのカデンツァから、コンマスのソロ。そしてチェロのソロ。これが最高。僕はその昔トロンボンを吹いていたからね、管楽器吹きのチェックポイントはよく分かるんだけれど、弦楽器のそれは全然分からないから、ただひたすら感心してしまうのだけれども。
っていうのは、たとえばソロを人前で聴かせる(ソロに限らないけれど)時に、音楽性とかそういう抽象的で高尚な事は置いておいて、音色、音程、音量、リズム、そして指が廻っていることっていう、いろんなチェックポイントがあるよね。こいつらの比重って、楽器ごとに違うと思うんだ。たとえばピアノなら、音色、音程とかはまあ所与の物として、指が廻るかどうかが一番のチェックポイントで、ラッパだったら音色なのかな。木管楽器はそいつらにリズムが加わって。
そう考えると、弦楽器のソロって、こいつら全部に、等分の気を遣う必要があるんだよね。だからプレッシャーは並大抵じゃないと思うんだけれども。でもコンマスもチェロの人も、すごくよかったよ。きっとおいしいお酒が飲めただろうね。あと、ハープの人も。プロのコンサートでも、ハープがああいう風に裸になることって、あんまりなくってね。ポロンポロンした分離のいいハープの音、堪能しました。
曲はね、さっきもいっていたけれど、短い曲が多くって。いつ終わるんだろう、拍手するタイミング分かるのかしら、って心配してしまうほどだったのだけれども。
でも、もちろん。
全然そんな心配は必要なくって。さすがのチャイコフスキーの大盛り上がり。楽しかった。
そうそう、最初にホール入って、プログラムを開けたときにね。ちっちゃい紙がパラって落ちてきたんだよ。
正誤表。(誤)シューベルトのライン→(正)シューマンのライン。
あらら、やっちゃったね。やっちゃうんだよね、これ。
僕も未だにどっちがどっちか迷うものね。ラインはシューマンだよね。
とはいえ、その二人の違いを語れるほど、特にシューマンについては詳しくないんだけどね。どっちも交響曲作家っていうよりは、歌曲の作曲家っていうイメージがあるけれど、ではシューマンがどんな歌曲を作ったかっていわれても、よく分からないんだ。
交響曲は、シューベルトのグレイトとか未完成とかは、野バラとか鱒のイメージとは程遠い、重厚でゆったりした交響曲、っていうイメージがあって。ラインもひと言で言うとそういう感じなんだよね。だから、余計混乱するのだけれども。
そのライン。
この演奏会の案内が来てから、朝比奈/新日フィルのラインをあらためて聴き直したのだけれど。
これ、難しい曲だね。演奏するの。
だって、じいさんのこの演奏、崩壊寸前。
この曲、ブルックナーの3番に似てるんだよね。曲想とかじゃなくって、音の作り方が。つまり、まとまった音の塊がそこかしこにあって、それが全部意図したところに収まっていないときちんと聞こえてこないっていう。
テレビ局のスタジオに、書き割りの草むらやら電柱やらがあって、カメラの角度からはきちんとした風景を構成しているんだけれども、ちょっと見る位置をずらすとベニヤ板の草むらを支えるスタンドが見えちゃったりする感覚なんだよね。
そして、音が分厚い。
ホントにブルックナーなんじゃないかって思うほど、金管のコラールみたいな響きがいっぱいあって。
僕は大好きなんだけど、でも難しいよなあ。
そうやって、心配半分で聴いてたんだけどね。
その意味では、物足りないなあ。
だって、終始安定していて、音型的にはらはらすることなんて全然なかったんだもの。いや、その分いい演奏だったってことなのだけれども。
しかし、ホルンの人はご苦労様でした。エラいハイノートばっかりだったね。
今年も秋の一日、楽しませてくれてありがとう。
来年は第九ですか。秋の第九、楽しみにしてますね。
ただ、それだけのはなし。
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2009年9月21日
尼崎市民交響楽団
第24回定期演奏会
@アルカイックホール
チャイコフスキー:バレエ音楽 白鳥の湖 より
シューマン:交響曲 第3番 ライン
en. ワーグナー:ニュルンベルグのマイスタージンガー 序曲