SAYURI memories of RIN2007年07月15日

 響きは美しいんだけどね。
 どうも、字として不格好なんだよね。
 もちろん、僕のとんでもなく下手な筆記では、どうやっても様にならないのは分かるけれど、これが様になる書体って、どんなんだろう。あんまり想像できないな。
 響きは、美しいんだけどね。
 
 凜。
 っていう字のことなんだけどね。
 
 りん。
 美しい、響きだよね。
 僕は別に安倍首相の肩を持つわけではないけれど、日本は、美しい国だ、あるいは美しい国だったとは思っていてね。
 その美しさを表すのに一番いい言葉が、凜。そう思うんだよね。このごろ。
 
 というわけで、SAYURIっていう、映画を見たよ。
 僕は、チャン・ツイィーが大好きでね。っていうわりには照れくさくって劇場まで足を運ぶことはあまりしないのだけれども。
 WOWOWでオンエアしたのを、HDに録ったのだけれども、映画好きの友人が声を揃えてだめ出しをするものだから、ちょっと躊躇してたんだよね。観るのを。
 でも、嵐に閉じこめられた連休の暇つぶしとして、観てみたよ。ようやく。
 
 もちろん、だめ出しをするひとのことも分からないではないよ。日本文化の粋である芸者を、中国人が演じていて、しかも英語をしゃべってる。その部分に抵抗を感じる人もいるかも知れない。
 でも。
 にもかかわらず。
 僕は好きだなあ。この映画。
 
 何年か前、ハリウッドにジャパネスクのブームがあったよね。ラストサムライとキルビルvol.1。その流れをくむ、ジャパネスク映画なのだと思うのだけれども。こういう、異文化から観た日本文化へのリスペクトって、面白いよね。
 面白いっていうか、僕らが日頃忘れてしまっている、日本文化って捨てたもんじゃないよ、っていうことを想い出させてくれる。
 もちろん、ちょっと違う、っていって笑うことは簡単なことだけどね。でも、いい線行ってるでしょ、SAYURIは。
 
 安直な娼館ではなく、芸を売り物にした芸者で成り立っている街、はなまち。そこに生きる、強い、けれども状況を変える力を持たない芸者の物語。
 その物語を魅力的に見せているのが、
 凜。
 具体的には、チャン・ツイィーの手の形とか、仕草とか、表情とかなんだけどね。
 
 この映画の違和感を笑う前に、日本文化の凜、を表現するために、ハリウッドが選んだのが中国女性のチャン・ツイィーだ、っていうことを、我々は恥じなければいけないんじゃないかなあ。
 土屋アンナはおいといて、この役を演じ得れる女優、だれか思い浮かぶ?
 
 ただ、それだけのはなし。