話、きいてます? ― 2006年06月24日
予想が当たったね、2敗1分。嬉しくないけれど。
嬉しくはないけれど、あんまり悔しくないんだよね。だって、これ以外の結果って、考えにくいでしょ。
「この不器用な革命家と付きあうには、相当の覚悟がいる。だが、あと1年、どんな痛みがあろうとも、日本には彼が必要だ。日本サッカーの革命は、まだ終わっていない」
一年前に、Numberという雑誌がこう書いていて、僕もそれに同意したのだけれど。結局、日本代表の選手たちは、この不器用な革命家と付き合うことを、放棄しちゃったんだよね。
自分の想像できる範囲の、ちっちゃな経験と実績を持って、自分の想像外のレベルと経験に基づく、真摯な忠告をうるさがった。その結果が、これだよね。中田を除くチームの総意がこれならば、しょうがないよね。
まあいいや。
ブラジル戦での、玉田のゴール。バランス崩した稲本から三都主への奇蹟のパス。三都主から走り込んだ玉田への絶妙なパス。そして、キーパーをよく見て思い切りけり込んだ玉田の、美しいシュート。
それから、
試合終了と共にピッチに倒れ込む中田。ブラジルのユニフォームで顔を隠して、その陰で哭く中田。その中田に誰も近寄らない選手たち。近づくのは係員。放送終了直前にやっと起きあがった中田。
この、玉田のシュートと中田の涙だけが、今大会の収穫かな、って思ってたんだけれどね。
一夜明けて。
見るとも無しに見ていた報道ステーション。
試合後、左手を吊って記者通路に現れた中田。
思いっきりクールな、いつもの中田。
--ピッチに倒れ込んでいましたが?
疲れていたので。
--泣いてるように見えました?
そうですか。
--最大限実力を発揮できましたか?
最大限実力を発揮できないではなくて、発揮したのが現在の実力です。力不足を痛感しました。
--どのような大会でしたか?
……話きいてます? チカラブソクヲツウカンシタタイカイデシタ。
ぼおっとした頭で、何気なく見ていた映像だったから、記憶がだいぶんあやふやなんだけれど。
そして、もしかしたら大部分の人には不自然さを感じないのかも知れないけれど。
中田は、というかサッカー選手は、こんなマスコミと付き合わなくてはいけないんだね。
こんな、っていうのは、会話としてのインタビューが成り立たない、質問とも言えないような振りを繰り返し、答え手の親切心と阿吽の呼吸にすべてを任せるインタビュー。真摯に答える中田が、既に答えを言っているのに、同じ質問を(言葉を換えて)発して恥じないインタビュアー。
このやりとりで、きっとこのインタビュアーは、中田は扱いにくい、無愛想だ、っていって回るんだろうね。この状況できちんと、筋道立てて、誠実に答えようとした中田の誠実な良心をくみ取ることもなく。
あわてていくつかのチャンネルを見たけれど、このインタビュー映像を使った局はいくつもあったけれど、「話きいてます」のところを使ったのは報道ステーションだけだったね。僕が見た限り。
これは、報道ステーションの、古館の報道屋としての良心なのかも知れないね。
ちなみに、他の局では、「チカラブソクヲツウカンシタタイカイデシタ」の部分だけ編集されて、充分にナカタのインタビューとしての役割を果たしていたけれどね。
ああ、こういう報道が醸成していく世論っていうやつとも、中田は闘わなくちゃいけなかったんだね。
お疲れさま、中田英寿。
黄色い布にくるまれた、真っ赤に充血した細い目。忘れないよ。
いつかその意味がチームメイトにも伝わるといいね。
ただ、それだけのはなし。
嬉しくはないけれど、あんまり悔しくないんだよね。だって、これ以外の結果って、考えにくいでしょ。
「この不器用な革命家と付きあうには、相当の覚悟がいる。だが、あと1年、どんな痛みがあろうとも、日本には彼が必要だ。日本サッカーの革命は、まだ終わっていない」
一年前に、Numberという雑誌がこう書いていて、僕もそれに同意したのだけれど。結局、日本代表の選手たちは、この不器用な革命家と付き合うことを、放棄しちゃったんだよね。
自分の想像できる範囲の、ちっちゃな経験と実績を持って、自分の想像外のレベルと経験に基づく、真摯な忠告をうるさがった。その結果が、これだよね。中田を除くチームの総意がこれならば、しょうがないよね。
まあいいや。
ブラジル戦での、玉田のゴール。バランス崩した稲本から三都主への奇蹟のパス。三都主から走り込んだ玉田への絶妙なパス。そして、キーパーをよく見て思い切りけり込んだ玉田の、美しいシュート。
それから、
試合終了と共にピッチに倒れ込む中田。ブラジルのユニフォームで顔を隠して、その陰で哭く中田。その中田に誰も近寄らない選手たち。近づくのは係員。放送終了直前にやっと起きあがった中田。
この、玉田のシュートと中田の涙だけが、今大会の収穫かな、って思ってたんだけれどね。
一夜明けて。
見るとも無しに見ていた報道ステーション。
試合後、左手を吊って記者通路に現れた中田。
思いっきりクールな、いつもの中田。
--ピッチに倒れ込んでいましたが?
疲れていたので。
--泣いてるように見えました?
そうですか。
--最大限実力を発揮できましたか?
最大限実力を発揮できないではなくて、発揮したのが現在の実力です。力不足を痛感しました。
--どのような大会でしたか?
……話きいてます? チカラブソクヲツウカンシタタイカイデシタ。
ぼおっとした頭で、何気なく見ていた映像だったから、記憶がだいぶんあやふやなんだけれど。
そして、もしかしたら大部分の人には不自然さを感じないのかも知れないけれど。
中田は、というかサッカー選手は、こんなマスコミと付き合わなくてはいけないんだね。
こんな、っていうのは、会話としてのインタビューが成り立たない、質問とも言えないような振りを繰り返し、答え手の親切心と阿吽の呼吸にすべてを任せるインタビュー。真摯に答える中田が、既に答えを言っているのに、同じ質問を(言葉を換えて)発して恥じないインタビュアー。
このやりとりで、きっとこのインタビュアーは、中田は扱いにくい、無愛想だ、っていって回るんだろうね。この状況できちんと、筋道立てて、誠実に答えようとした中田の誠実な良心をくみ取ることもなく。
あわてていくつかのチャンネルを見たけれど、このインタビュー映像を使った局はいくつもあったけれど、「話きいてます」のところを使ったのは報道ステーションだけだったね。僕が見た限り。
これは、報道ステーションの、古館の報道屋としての良心なのかも知れないね。
ちなみに、他の局では、「チカラブソクヲツウカンシタタイカイデシタ」の部分だけ編集されて、充分にナカタのインタビューとしての役割を果たしていたけれどね。
ああ、こういう報道が醸成していく世論っていうやつとも、中田は闘わなくちゃいけなかったんだね。
お疲れさま、中田英寿。
黄色い布にくるまれた、真っ赤に充血した細い目。忘れないよ。
いつかその意味がチームメイトにも伝わるといいね。
ただ、それだけのはなし。