スラトキンの、ジョン・ウィリアムス @大フィルさん ― 2025年01月31日
PACの重厚なマーラーのお次はね、大フィルさんのお気軽な定期演奏会。
レナード・スラトキンの指揮で、オール・ジョン・ウィリアムス・プログラム。
レナード・スラトキンはね、アメリカ人の指揮者なのだけれど。僕は高校時代から知っていたんだよね。
高校時代、吹奏楽部に所属していた僕は、3年生の最後のコンクールで、コープランドのロデオ、っていう曲を演奏することになったんだ。コープランドっていうのは、アメリカの作曲家でね。ロデオっていう曲はとっても明るいお祭りの曲なのだけれど、あんまり有名ではないんだよね。
知らない曲を演奏する、っていうことで、まずはレコードを聴いてみよう、っていってレコード店に行ったんだよね。
その頃は、この曲の演奏は、3種類しか見つけられなかったんだよね。
僕らのマスター演奏になった、バーンスタイン指揮ニューヨークフィルハーモニーの演奏と、ちょっと重々しいアンタル・ドラティ指揮のデトロイト交響楽団。そしてもう一つが、スラトキン指揮のセントルイス響の演奏。録音が古くてワイルドなバーンスタインと、テンポが遅くて重たいドラティの間で、軽くて爽やかな、若々しい演奏だったことを覚えているよ。
そのスラトキンは、数年前にも大フィルさんに来てくれて、ガーシュインとコープランドを振ったんだよね。どちらもアメリカの作曲家で、アメリカ人の指揮者が似合うんだよね。その時の、コープランドの交響曲第3番だと思うのだけれど、トロンボンのソロがめちゃめちゃかっこよくってね、一発で福田さんのファンになっちゃったよ。
前回の話になっちゃったけど。
そういう、アメリカ人っぽさを(大フィルさんに?)期待されているスラトキンが今回振るのが、オール J.ウイリアムス プログラム。
これって、結構珍しいと思うんだよね。
数年前から、ヨーロッパの名門と言われているオーケストラが、J.ウィリアムスを指揮者として招いて、オールJ.W.プログラムの演奏会をするようになって。TVやCDの付録のブルーレイディスクでもその模様を見ることができたんだ。
ウィーンフィルとか、ベルリンフィルとか。日本だとサイトウキネンオーケストラにも来ていたのかな。
でもそれって、たぶん、定期演奏会のはなしではないよね。J.W.を招いた、特別演奏会なんだと思うんだよね。
なぜなら、ジョン・ウィリアムスの曲の多くは映画音楽で。クラシック音楽を毎月聴きに行くような人たちが、定期演奏会に求める音楽とはちょっと違うから。
そう思っていたのだけれど、大フィルさんは、スラトキンの指揮で、オール・ジョン・ウィリアムスのプログラム、定期演奏会にぶち込んできたんだよね。
J.ウィリアムスは、映画音楽だけではなくて、クラシック(コンサート音楽、っていういいかたをしていたかな)も作曲していて。前半はそういう曲。チューバ協奏曲って、他の作曲家でも聴いたことがなくて面白買ったな。普段はひな壇の後ろにいるチューバの方だけれど、オケの前に陣取って、オケがお膳立てをしてくれてソロを吹き出したら、その響きが広いフェスティバルホールに響き渡ったんだ。ああ、一本の金管楽器って、こんなにすごい音がするんだ、ってちょっと感動した。
この演奏会は、スラトキンさんがマイクも持って、曲間に説明をしてくれたんだよね。通訳の方もいらして、きちんとしたMCをしてくれた。
それによると、スラトキンさんのお母さんはハリウッドの映画音楽用の楽団の1stテロリストで。ジョーズのテーマを弾いた人らしいね。
そんなエピソードを語りながら、映画音楽を演奏していく大フィルさん。
誰もが知っている曲や、映画の想い出が強く残っている曲や、知らない曲でも映画の雰囲気が想像できる曲や。僕についていえば吹奏楽で演奏したことのある曲や。
聞き慣れたサウンドトラックの多くはロンドンフィルが録音したもので。レンジの広い、明るい素直なロンドンフィルのブラスが頭に残っていると、もちろんそのものでは無いのだけれど。
いいなあ、たのしいなあ。
J.ウィリアムスがウィーンフィルを指揮したビデオを見るとね、みんな笑顔なんだよね。本人もそうだし、オーケストラのメンバーもニコニコしていて。そして、お客さんも笑ってる。
それって、クラシックの演奏会ではあんまり観ない光景、なんだよね。
だから、ちょっと違和感も感じていたりしたのだけれど。
分かったよ。
あたり前なんだよ。
だって、楽しいんだもん。
僕の年代でいえば、小学生の頃はテレビでジョーズを繰り返し見て、少し大きくなったらインディ・ジョーンズがあり未知との遭遇があり、ETがあり。シリーズ物としてずっとスター・ウォーズがあり。
大学生になったらジュラシックパークがあり。云々かんぬん。
つまり、映画館で見る洋画は、みんなジョン・ウィリアムスみたいなもんだよね。
その音楽が、目の前で、こんな大編成のオケで演奏されている。ハリウッドで生まれて育ったスラトキンが指揮している。
こんな楽しいことなんて、そうないよね。
何度かのカーテンコールのあと、アンコールは、指揮者なしでの、ダースベイダー・マーチ。
ああ、楽しかった。
ただ、それだけのはなし。
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