ジントニックの、キイノート ― 2006年10月10日
ちょっと前にね、南の島に遊びに行って来てね。
短い滞在中は、僕らしくもなく一生懸命遊んじゃったからね。ぽっかり空いた出発日の午前中は、思いっきりだらだら過ごすことに決めて。
朝日が昇ったばかりの海を見渡すバルコニーで。まだ準備中のプールサイドで、日が高くなってからは海辺のソファーで。そして、バーが開店してからはビールを飲みながら。
旅のお供の文庫本を読んでいたよ。
放課後の音符 by 山田詠美。
大切な友達から勧められてね。なんだけれども、新幹線の中ではゆるんだ涙腺に集まる人目が気になってしまって、あんまり読めなかったこの本。でもここなら大丈夫。瞳にたまった水分はすぐに蒸発してくれるからね。その前に人目もないし。
というわけで、山田詠美の一気読み。なんて贅沢なんだろうね。
詠美って、大好きなんだけれど、あんまりたくさんは読んでないんだよね。
なんでかっていうと。
詠美のお話は、賞味期限が長いんだ。短編一編で、その余韻に浸ったり読み返したりして、次のお話に進むまでに何週間もかかってしまう。全部読みおわったあとも、思い返したり読み返したりして、ずっと満腹でいられる。
寡作な作家なのに、次の本読みたいと思うタイミングが、それよりもずっと遅いんだよね。だから、いつまでたっても本屋さんには、読んだことのない詠美の物語が並んでいる。
しあわせだよね。
それを、今回は次から次への一気読み。そして、次から次への読み返し。夏の終わりの沖縄の、刺す様な日差しは曇天が遮ってくれて。さわやかな風が瞼の腫れを優しく舐ってくれて。
なんていう、至福。
詠美の本って、南のリゾートが似合うよね。そのまんまリゾートを舞台にしたお話もあるけれど、そうでなくても、正統にお日様に灼かれた小麦色の肌がよく似合う。
もちろん、そんなところで本なんか読んでないでさ。って言うのが詠美の主張なんだけれども、そんなところで本を読んでるおじさんにもその心地よさを分け与えてくれる。そういうお話が、いっぱいだったよ。
この本を薦めてくれた友人とね、この本の中の一番のお気に入りを紹介するっていう約束をしていたのだけれど。
まあ、その約束が今でも生きているのかはよくわからないし、そうでなくても一つには決められないんだけれどもね。
一つ、何度も何度も読み返したお話が、あるよ。
最初はね、ビール片手に飲んでたんだけれども。あまりお酒の強くない僕は、朝っぱらからはそんなに飲むつもりはなかったのだけれども。
でも、我慢ができなくなって、ビールを飲み干して、新しいお酒をとりにいったよ。
ジントニック。
そのお話はね。
都会に住んでいる女の子と、南の島のトウキビ畑で働いている、耳も聞こえないし喋れもしない男の子の、ものがたり。
女の子が夏休みに帰った実家で、その男の子に出会ってね。言葉で伝えられない分、ふたりは雄弁に恋をはぐくんだ。そのふたりが夕暮れの浜辺で、決まって飲んでいたのが、地元のお酒をソーダで割った飲み物。
別れの日、見つめ合うだけで来年の約束をしないで戻ってきた女の子が、都会に戻ってきて、南の島で飲んだそのお酒に似た飲み物を必死に探して。
そして、いつもジントニックを飲むようになった。
恋愛が、苦しいものにかわるのって、ある日突然だよね。
同級生の中で、ただ一人、その突然を経験してしまった女の子は、その突然を可能性として受け入れている女の子(でもまだ経験はしていない)だけに心を開いて。
もちろん、遠い昔の話なんだけれどもね。僕にとっては。
でもまだ続いてたりするんだよね。
そんなこんなで、南の島で飲むジントニックは、とっても心地よくって。
このごろは、バーでよく、ジントニックを頼んだりしてるんだよ。
ただ、それだけのはなし。
短い滞在中は、僕らしくもなく一生懸命遊んじゃったからね。ぽっかり空いた出発日の午前中は、思いっきりだらだら過ごすことに決めて。
朝日が昇ったばかりの海を見渡すバルコニーで。まだ準備中のプールサイドで、日が高くなってからは海辺のソファーで。そして、バーが開店してからはビールを飲みながら。
旅のお供の文庫本を読んでいたよ。
放課後の音符 by 山田詠美。
大切な友達から勧められてね。なんだけれども、新幹線の中ではゆるんだ涙腺に集まる人目が気になってしまって、あんまり読めなかったこの本。でもここなら大丈夫。瞳にたまった水分はすぐに蒸発してくれるからね。その前に人目もないし。
というわけで、山田詠美の一気読み。なんて贅沢なんだろうね。
詠美って、大好きなんだけれど、あんまりたくさんは読んでないんだよね。
なんでかっていうと。
詠美のお話は、賞味期限が長いんだ。短編一編で、その余韻に浸ったり読み返したりして、次のお話に進むまでに何週間もかかってしまう。全部読みおわったあとも、思い返したり読み返したりして、ずっと満腹でいられる。
寡作な作家なのに、次の本読みたいと思うタイミングが、それよりもずっと遅いんだよね。だから、いつまでたっても本屋さんには、読んだことのない詠美の物語が並んでいる。
しあわせだよね。
それを、今回は次から次への一気読み。そして、次から次への読み返し。夏の終わりの沖縄の、刺す様な日差しは曇天が遮ってくれて。さわやかな風が瞼の腫れを優しく舐ってくれて。
なんていう、至福。
詠美の本って、南のリゾートが似合うよね。そのまんまリゾートを舞台にしたお話もあるけれど、そうでなくても、正統にお日様に灼かれた小麦色の肌がよく似合う。
もちろん、そんなところで本なんか読んでないでさ。って言うのが詠美の主張なんだけれども、そんなところで本を読んでるおじさんにもその心地よさを分け与えてくれる。そういうお話が、いっぱいだったよ。
この本を薦めてくれた友人とね、この本の中の一番のお気に入りを紹介するっていう約束をしていたのだけれど。
まあ、その約束が今でも生きているのかはよくわからないし、そうでなくても一つには決められないんだけれどもね。
一つ、何度も何度も読み返したお話が、あるよ。
最初はね、ビール片手に飲んでたんだけれども。あまりお酒の強くない僕は、朝っぱらからはそんなに飲むつもりはなかったのだけれども。
でも、我慢ができなくなって、ビールを飲み干して、新しいお酒をとりにいったよ。
ジントニック。
そのお話はね。
都会に住んでいる女の子と、南の島のトウキビ畑で働いている、耳も聞こえないし喋れもしない男の子の、ものがたり。
女の子が夏休みに帰った実家で、その男の子に出会ってね。言葉で伝えられない分、ふたりは雄弁に恋をはぐくんだ。そのふたりが夕暮れの浜辺で、決まって飲んでいたのが、地元のお酒をソーダで割った飲み物。
別れの日、見つめ合うだけで来年の約束をしないで戻ってきた女の子が、都会に戻ってきて、南の島で飲んだそのお酒に似た飲み物を必死に探して。
そして、いつもジントニックを飲むようになった。
恋愛が、苦しいものにかわるのって、ある日突然だよね。
同級生の中で、ただ一人、その突然を経験してしまった女の子は、その突然を可能性として受け入れている女の子(でもまだ経験はしていない)だけに心を開いて。
もちろん、遠い昔の話なんだけれどもね。僕にとっては。
でもまだ続いてたりするんだよね。
そんなこんなで、南の島で飲むジントニックは、とっても心地よくって。
このごろは、バーでよく、ジントニックを頼んだりしてるんだよ。
ただ、それだけのはなし。